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クレメンティ 1752-1832 Clementi, Muzio

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  • 解説:今関 汐里 (1619文字)

  • 更新日:2018年12月11日
  •  ムーツィオ・クレメンティは1752年1月23日に、ローマのサン・ロレンツォ教区に誕生した。父ニコロは銀細工職人であったが、息子に最善の音楽教育を受けさせようと努め、ソルフェージュ、通奏低音などのレッスンに通わせている。その英才教育が功を奏し、クレメンティは、弱冠13歳で、サン・ロレンツォ聖堂のオルガニストの地位を獲得した。この時のオルガニストとしての活動が、イギリスの貴族であるピーター・ベックフォード(1740~1811)の目に留まり、クレメンティは父のもとを離れ、彼と共にイギリス南西部のドーセットへと向かった。

     1774年末か1775年の初めころ、クレメンティはドーセットからロンドンへと移り、本格的な音楽活動を始めている。そのころのロンドンでは、ヨハン・クリスティアン・バッハが活躍していたため、クレメンティはさほど注目されていなかったと考えられているが、次第にハープシコード奏者として名を成していった。1779年の春には、《クラヴィーア・ソナタ》Op. 2が人気を博し、その後の演奏会の出演回数も増加している。

     1780年5月に、クレメンティは演奏旅行のために大陸へと向かった。この旅行での最大の出来事といえば、クレメンティがモーツァルトと共に、1781年12月24日に、オーストリアの皇帝ヨーゼフ二世の御前で演奏を披露したことである。この時、ヨーゼフ二世がクレメンティの演奏よりモーツァルトの演奏を気に入った、という証言は、モーツァルトの父宛ての手紙にみられる。しかしながら、モーツァルトがこの御前演奏から月日が経っても執拗に、クレメンティを「いかさま師」だとして、彼の演奏を非難していることに鑑みると、この出来事ないしクレメンティの演奏が、モーツァルトにとって非常に印象的であったことの裏付け、さらには、クレメンティの演奏家としての名声に対する妬みの現れであるともいえるかもしれない。

     モーツァルトとの競演の後、クレメンティは1783年秋にロンドンへと戻り、再び、鍵盤楽器奏者として登場している。しかし、その7年後の1790年5月31日の演奏会への出演し、ソロのピアニストとしてのキャリアに終止符を打った。その明確な理由は不明であるが、クレメンティがその後も音楽界で活動しようと考えていたことは明らかである。

     ソリスト引退後、クレメンティは、指揮者(当時は鍵盤楽器で通奏低音を担当)や、音楽出版、楽器製造会社の経営者、教育者として活動し、音楽界での活躍の場を広げていた。楽譜出版事業では、特にベートーヴェン作品のイギリス版権獲得のために、クレメンティ自らベートーヴェンを訪ね、ピアノ協奏曲第5番やピアノ・ソナタOp. 78、Op. 79などの作品を出版している。1813年1月には、ロンドンを中心に活躍する音楽家たちと共に「フィルハーモニック協会」を設立し、自作の交響曲ばかりではなく、様々な作品の指揮も務めていた。教育者としての彼の活動は、18世紀末から始まっており、ヨハン・バプティスト・クラーマーやジョン・フィールドなどの著名なピアニストを育てたことでも知られている。しかし、彼の教育者としての名声は、彼が《ピアノ演奏の手引き》Op. 42(1801)や《グラドゥス・アド・パルナッスム》Op. 44(1817、1819、1826)などいくつかのピアノ教育作品を出版したことで、さらに高まった。クレメンティの教育作品は、チェルニー、ショパン、リストなどが個人レッスンで、パリ音楽院のピアノ科でも教材として用いていたことから、彼の作品が、ピアニスト養成の要石として重きをなしていたことは明らかである。1832年3月10日この世を去ったクレメンティは、同年3月29日にロンドンのウェストミンスター寺院に埋葬された。その墓石には、「ピアノフォルテの父」と刻まれ、その名声がヨーロッパ全土に及んでいたことが讃えられている。

    執筆者: 今関 汐里
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    解説 : 上田 泰史  (5530文字)

    更新日:2013年10月15日
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    解説 : 実方 康介 (325文字)

    更新日:2007年4月1日
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    作品(108)

    ピアノ協奏曲(管弦楽とピアノ) (1)

    協奏曲 (1)

    ピアノ協奏曲 ピアノ協奏曲 ハ長調

    調:ハ長調  総演奏時間:22分40秒 

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    ピアノ独奏曲 (15)

    ソナタ (24)

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    ソナタ WO3 (Op.35-1) ソナタ ヘ長調

    調:ヘ長調  総演奏時間:9分20秒 

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    曲集・小品集 (1)

    ワルツ (4)

    ワルツ ワルツ 変ホ長調

    調:変ホ長調 

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    ワルツ ワルツ ハ長調

    調:ハ長調 

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    ワルツ ワルツ ト長調

    調:ト長調 

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    ワルツ ワルツ ヘ長調

    調:ヘ長調 

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    リダクション/アレンジメント (3)

    ★ 種々の作品 ★ (15)

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    ピアノ合奏曲 (4)

    ソナタ (20)

    トリオ WO6 トリオ ハ長調

    調:ハ長調  総演奏時間:11分00秒 

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    第2番 Op.4-2 (Op.37-1) 第2番 変ホ長調

    調:変ホ長調  総演奏時間:8分10秒 

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    リダクション/アレンジメント (9)

    ★ 種々の作品 ★ (10)

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    4手ピアノのための二重奏 Op.6-1 4手ピアノのための二重奏 ハ長調

    調:ハ長調  作曲年:1780  総演奏時間:11分10秒 

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    小二重奏 第1番 WO24 小二重奏 第1番 ハ長調

    調:ハ長調  総演奏時間:6分30秒 

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    小二重奏 第2番 WO25 小二重奏 第2番 ト長調

    調:ト長調  総演奏時間:5分50秒 

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    歌とピアノ (1)

    リダクション/アレンジメント (2)

    その他 (1)

    リダクション/アレンジメント (1)