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モーツァルト :ピアノ・ソナタ 第11番(トルコ行進曲付き) イ長調 K.331 K6.300i

Mozart, Wolfgang Amadeus:Sonate für Klavier Nr.11 A-Dur K.331 K6.300i

作品概要

楽曲ID:296
作曲年:1783年 
出版年:1784年 
初出版社:Artaria
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:23分30秒
著作権:パブリック・ドメイン

解説 (1)

執筆者 : 岡田 安樹浩 (1567文字)

更新日:2009年11月1日
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K.330の項目で述べられているように、このソナタも、以前はパリで作曲されたものと考えられていたが、近年の研究成果によって1783年頃の作品であることが突き止められた。

この作品が作曲されたと考えられる1783年頃のウィーンは、トルコ軍によるウィーン包囲に対してハプスブルクが勝利を収めてから100周年の年に当たり、最終楽章のトルコ風行進曲は、こうした世相を反映して作られたものと考えられる。

いずれの楽章にもソナタ形式を含んでいないが、全楽章が同じ主音上の調性によっており、教会ソナタの影を残しているとも考えられよう。また、変奏曲に始まり、舞踏楽章、そして行進曲と続く楽章構成は、ベートーヴェン「葬送ソナタ」Op.26へ大きな影響を与えたに違いない。

第1楽章 イ長調 8分の6拍子 変奏曲

3声を基本としたバルカロール風の主題は、前半8小節、後半10小節がそれぞれ反復記号をもつ。

第1変奏では上声の音型を装飾的に変奏し、第2変奏では16分3連音符の伴奏を基本に、やはり主題の旋律が装飾的に変奏される。

第3変奏は同主短調(イ短調)へ転じ、それまで休符を挿んでいた装飾音型に対し、上下降する切れ間ない音階的な装飾が施される。ここでの音型が第3楽章の動機と親近性を持っていると考えることもできよう。

第4変奏からは、調性をふたたび主調に戻し、腕をクロスさせて左手がバスと旋律双方を担当する。こうした技巧的、視覚的な要素も、変奏曲にとっては重要な要素だったことだろう。

第5変奏ではじめてテンポをAdagioへ落とし、アクロバットな第4変奏との対照が際立つが、旋律にはより一層細かな装飾が施された後に、軽快な第6変奏をむかえる。拍子を4分の4拍子、テンポをAllegroへと変え、旋回音型の装飾や分散和音、音階パッセージなど、あらゆる装飾技法を盛り込んで楽章を閉じる。なお、変奏冒頭の旋回音型は、終楽章の行進曲主題の素材へと通底しているとみてよいだろう。

第2楽章 イ長調 4分の3拍子 メヌエット

メヌエット、トリオそれぞれが前後半に反復記号をもつ2部形式で作曲されている。

メヌエット主題は、K.309の第1楽章冒頭主題を想起させる。16分音符によるパッセージによって、前半部分は属調へ終始するが、このパッセージが後半では主調であらわれる。

トリオは下属調の二長調へ転調する。前半部分は3度および6度の重音による順次進行を特徴とし、後半部分ではトリオ主題が、まずホ短調であわれ、4オクターヴのユニゾンによる決然とした下降音型へと発展する。メヌエット主部後半部分にあらわれる動機を用いてハ長調、ヘ長調、二短調などを経て、トリオ主題が二長調で回帰する。

2部形式におけるこのような調性構造、そしてトリオ部分の主題の展開などはソナタ形式に限りなく接近している。

第3楽章 イ短調―イ長調 4分の2拍子 トルコ行進曲

冒頭に「トルコ風Alla Turca」と記入されたこの行進曲は、モーツァルトの作品においてもっともポピュラーなものであろう。

イ短調の旋回音型によって特徴づけられた旋律に始まり、ハ長調(平行長調)による3度の重音による順次上行と、順次下行の組み合わせ(第9小節~)を経て、この動機がイ長調(主調の同主長調)による軍楽行進曲風の音楽(第25小節~)へと発展する。

続いて、嬰ヘ短調(イ長調の平行短調)冒頭の旋回音型の反行形に始まる16分音符のパッセージがあらわれる(第33小節~)。

このパッセージを経て、ふたたびイ長調の軍楽行進曲を挿み、冒頭の旋回音型主題がイ短調で回帰(第65小節~)する。ハ長調部分(第73小節~)、イ長調部分(第89小節~)を再現した後、イ長調の軍楽行進曲が発展したコーダとなり、旋回音型の反行形を回想しながら華々しく楽曲を閉じる。

執筆者: 岡田 安樹浩

楽章等 (3)

第1楽章

総演奏時間:13分30秒  コンペ課題曲:E級級 ステップレベル:発展4,発展5,展開1,展開2,展開3

第2楽章

総演奏時間:6分30秒  ステップレベル:発展1,発展2,発展3,発展4,発展5

第3楽章

総演奏時間:3分30秒  コンペ課題曲:E級級 ステップレベル:発展1,発展2,発展3,発展4,発展5,展開1,展開2,展開3

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