
解説:上原 由記音 (866文字)
更新日:2007年8月1日
解説:上原 由記音 (866文字)
イサーク・アルベニスは、スペイン近代民族主義楽派の旗手となって活躍した作曲家で、天才的なピアニストだった。1860年5月29日、スペイン北東部カタルーニャ地方に生まれる。1869年~1873年にマドリッド音楽院に在籍し、その間をぬって南スペインのアンダルシア各地を演奏して周る。15歳の時にはキューバの国庫会計局に就任した父と共にキューバに渡ったと考えられる。キューバやプエルト・リコで演奏し、やがて、ライプツィヒ音楽院でライネッケとヤダスゾーンに、又、ブリュッセル音楽院でブラッサンに学ぶ。天才ピアニストとして世界各地を演奏して回るが、23歳で妻ロシーナと結婚。この頃、民族主義を提唱するフェリペ・ペドレル(カスティーリャではフェリプ・ぺドレイと呼ぶ)(1841~1922)に師事するが、ペドレルは彼に作曲技法を教えず「ピアノの文献に触れるように」とだけアドヴァイスしたという。これはペドレルがアルベニスの天才的な才能を見抜いていたからであった。結婚を機に放浪を止めたアルベニスは、マドリッド、ロンドンを経て、居をパリに移し、生涯をフランスで過ごす。パリではショーソン、フォーレ、デュカス、ダンディと交流し、その音楽的な影響は多くの作品に反映された。スコラ・カントゥルムで教えたこともあり、その弟子にはセヴラックがいる。1909年5月18日腎臓病(ブライト氏病)で亡くなる。49歳。
オペラやオーケストラ作品も残したが、特にピアノ曲を多く作曲し、当時からヨーロッパの音楽界で高い評価を得ていた。ロマン派的な小品も多く作曲しているが、スペイン近代民族主義楽派としての作品においてアルベニスの魅力が発揮されており、その傑作は1906年から没年の1909年までに作曲された12曲からなる組曲「イベリア」で、スペイン音楽のみならず近代ピアノ音楽の最高峰のひとつである。なお、アルベニス自身が付けた作品番号は曖昧であり、2001年にハシント・トーレスJacinto Torres氏によって整理された作品カタログのT.(トーレス番号)がある。
作品(45)
ピアノ協奏曲(管弦楽とピアノ) (2)
ピアノ独奏曲 (11)
ソナタ (5)
曲集・小品集 (14)
性格小品 (6)