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アルベニス :ナバーラ (ナヴァーラ) 変イ長調

Albéniz, Isaac:Navarra As-Dur

作品概要

楽曲ID:2690
作曲年:1909年 
出版年:1912年 
初出版社:Édition mutuelle
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:性格小品
総演奏時間:5分40秒
著作権:パブリック・ドメイン

解説 (1)

執筆者 : 和田 真由子 (642文字)

更新日:2007年12月1日
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「ナバーラ」とは、ピレネーの西に広がる地名である。

アルベニスはこの曲は1908年から作曲しはじめたものの、翌年、これを完成させることなくこの世を去ることになった。そこで、弟子であり、また友人でもあったデオダ・ド・セヴラック(1873-1921)がこれを復元、補筆(26小節)し、1909年に完成させた。この補筆部分は、セヴラックらしい繊細さや美しさはあるものの、華やかさには欠けている、と評されることが多い。《ナバーラ》が本人の手によって完成されたならば、最高傑作の一つになったであろう、というような声もある。

変イ長調。8分の3拍子、アレグロ・ノン・トロッポ。

ナバーラ地方のホタの主題に基づく幻想曲。技巧的な弾きにくさはもちろん、複雑な譜面も、この曲を難曲たらしめる要因となっている。この曲は、当初、イベリア4巻に入れるものとして作曲されていた。しかし、ホアキン・マラッツへの手紙の中で、アルベニスは次のように述べている。「もし書き終えているとしても物足りない」、「書法がとても大衆的であり、嫌いというほどではないが、他の11曲につりあう新しい曲を書いたほうがよいと思う」。

官能的で、メランコリーな旋律が独創的であり、実際、多くの人々に親しまれる作品となった。

16分音符のはぎれのよい伴奏によって曲に活気が与えられており、オクターブでの和音は、曲の華やかさ、スケールをより大きくしている。自由さをもって、大げさなくらいの表現をつけながら弾くと、曲がより生き生きとしたものになるだろう。

執筆者: 和田 真由子