ラ・ベガ》は、アルベニスが37歳(1897年)の作品で、パリで完成された。
中期から後期への過渡期の作風を示すこの作品は、《イベリア》ほどとりあげられることは多くないが、《イベリア》にまさるとも劣らない傑作として評価されることが多い。
当初は《アルハンブラ組曲》の第一曲として作曲されていたが、結局第2曲以後はかかれることがなく、独立した作品となった。とはいえ、演奏時間も15分弱の長さがあり、ききごたえは十分である。
タイトルは、“肥沃な草原”の意で、アンダルシアの古都グラナダにある平野をさしている。
楽譜にはアルベニスのパトロンであったイギリスの文人、F・マニー=カウツの詩が記されており、その内容はグラナダを称えるものである。
曲は活気に満ちた踊りのリズムをもったAの主題(アレグロ・ドルチェ)と、哀愁ただようコプラ(唄)のBの主題(トランクィロ・エ・ドルチェ)からなり、A-B-A’-B’-A”-A-コーダの形をとる。
ポルトガルのピアニスト、J・ヴィアナ・ダ・モッタに献呈された。