四手のためのピアノ連弾曲。
《6つの古代のエピグラフ》のもとになるスケッチは、ドビュッシーの友人ピエール・ルイス(1870~1925)の詩集『ビリティスの歌』の朗読を伴奏するための付随音楽として1990年に書かれたものである。それは、フルートとチェレスタとハープのためのものであったが、これは演奏されず、1914年、第一次世界大戦中、祖国フランスに貢献するために、ピアノ連弾曲として完成した。またこの曲は後に、指揮者アンセルメにより管弦楽に編曲されている。
この曲には、ドビュッシーのギリシアへの深い憧憬がこめられている。彼の円熟した技法によって、6つの標題それぞれが示す、詩の世界が音画風に描き出されている。
1.夏の風の神、パンに祈るために / "Pour invoquer Pan, dieu du vent d'ete"
2.無名の墓のために / "Pour un tombeau sans nom"
3.夜が幸いであるために / "Pour que la nuit soit propice"
4.カスタネットを持つ舞姫のために / "Pour la danseuse aux crotales"
5.エジプト女のために / "Pour l'Egyptienne"
6.朝の雨に感謝するために / "Pour remercier la pluie au matin"