ラヴェル :クープランの墓
Ravel, Maurice:Le tombeau de Couperin
執筆者 : ピティナ・ピアノ曲事典編集部 (910文字)
ラヴェルはフランス近代を代表する作曲家で、曲数こそ多くはないが、重要な秀作を次々と生み出した。
ラヴェルは、はじめドビュッシーに尊敬をはらい続け、初期の作品にはドビュッシーの影響が色濃く反映されていた。しかし次第に明確な旋律や簡潔な様式を求め、18世紀の古典主義的傾向をその作品に反映するようになっていった。そのような傾向が最も端的に現れているのがこの『クープランの墓』で、クープランを代表とする18世紀フランス音楽に敬意を表して、1914~17年に作曲された。曲名の“墓”というのはフランス語の“トンボー”(tombeau)という語の直訳だろうが、ここでは“故人を偲ぶ曲”というというもう一つの意味の方を指していると考えられる。曲は古典舞曲形式を中心に6曲からなり、各曲は第1次大戦で戦死した彼の友人6人に捧げられている。初演は、第6曲を捧げられ音楽学者だったマルリアーヴ隊長の未亡人でフランスの名ピアニスト、マルグリット・ロンによって1919年4月11日パリで行われた。
1.プレリュード / "Prélude"
12拍子の流麗な旋律が、様々な調性をさり気なく通り過ぎてゆく。
2.フーガ / "Fugue"
反行カノンや三重カノン、ストレッタを用いた3声の本格的なフーガだが、ラヴェルらしい穏やかさがほのかに光る。
3.フォルラーヌ / "Forlane"
17世紀のフランスの音楽によく用いられていたこのフォルラーヌという舞曲は6/8拍子で、北イタリア起源の古いダンス。古典主義的傾向が最も強いが、ラヴェル独自の巧みな和声も聞こえてくる。
4.リゴドン / "Rigaudon"
リゴドンは17世紀フランスの宮廷音楽によく用いられた、プロヴァンス発祥の2拍子系の舞曲。明るく活発な主部と憂いを帯びた中間部とが対比を成す。
5.メヌエット / "Menuet"
優雅で気品溢れる優しい曲。トリオの部分は“ミュゼット”と示されており、やや劇的な緊張が見事に高揚していく。
6.トッカータ / "Toccata"
16分音符が一貫して連打される技巧的な曲で、大変高度な技術が要求される。しだいに高まる緊張感や冴えわたる感性は、まさに圧巻である。
プレリュード
調:ホ短調 総演奏時間:3分00秒
動画(9)
解説(1)
楽譜(4)
フーガ
動画(4)
フォルラーヌ
調:ホ短調 総演奏時間:6分00秒
楽譜(3)
リゴドン
調:ハ長調 総演奏時間:3分00秒
動画(5)
メヌエット
調:ト長調 総演奏時間:5分00秒
動画(6)
トッカータ
調:ホ短調 総演奏時間:4分00秒
動画(11)
「クープランの墓」より 6.トッカータ
クープランの墓 トッカータ/2012ピティナ全国決勝 G級銀賞
クープランの墓 第1曲「プレリュード」
クープランの墓 第6曲「トッカータ」
クープランの墓 1.プレリュード
クープランの墓 6.トッカータ
クープランの墓 1. プレリュード
クープランの墓 4. リゴドン
クープランの墓 6. トッカータ
クープランの墓 5. メヌエット
クープランの墓 2. フーガ
クープランの墓 3. フォルラーヌ
クープランの墓 4.リゴドン
クープランの墓 5.メヌエット