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チャイコフスキー :ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 Op.23

Tchaikovsky, Pytr Il'ich:Concerto for piano and orchestra No. 1 b-moll Op.23

作品概要

楽曲ID:92
作曲年:1874年 
出版年:1879年 
楽器編成:ピアノ協奏曲(管弦楽とピアノ) 
ジャンル:協奏曲
総演奏時間:34分30秒
著作権:パブリック・ドメイン

解説 (1)

執筆者 : 和田 真由子 (1238文字)

更新日:2007年12月1日
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1874年から、チャイコフスキーは全力をかけてこの協奏曲の作曲にとりかかった。

この曲はもともと、友人のニコライ・ルービンシテインに献呈されるはずであった。ところが最初にこの曲をニコライにきかせたとき、彼はこの曲の出来をひどくこきおろし、書きかえなければこれを演奏しないと言ったそうだ。自尊心を傷つけられ腹をたてたチャイコフスキーはこれを断り、そのままの形で譜面を印刷することを宣言した。

結局チャイコフスキーはこれを改めて仕上げ、名ピアニスト兼指揮者、ハンス・フォン・ビューローに献呈した。1875年、ビューローはボストンにて初演し、大成功をおさめた。

また、モスクワでの初演は、ニコライ・ルビンシテインの指揮によって行われ、その後、ニコライ自身も、この曲のソリストとして、作品の普及に努めている。

1879年と1888年に、二度にわたって改訂がなされている。

全3楽章からなる。

全体に協奏曲の伝統的な形式にとらわれることなく、自由な形で作曲されている。

現在も、数あるピアノ協奏曲の中で極めて人気の高い一曲であろう。

第1楽章 アレグロ・ノン・トロッポ・エ・モルト・マエストーソ―アレグロ・コン・スピリート:ソナタ形式。冒頭に雄大な序奏があるが、この始めの部分でピアノが鐘のように重い和音を弾き鳴らし、その背後で第一ヴァイオリンとチェロが、主題を奏でる。これがこの楽章で中心的な主題になる。第一主題は変ロ短調、おどけたようなリズム旋律が鼻歌のように歌われる。この旋律はウクライナで耳にした民謡からとられたといわれている。第2主題は抒情的で、力強い発展をみせる。展開部では、ピアノと管弦楽が対等に渡り合い、それぞれの主題が絡みをみせながら、圧倒的なエネルギーをもって協奏される。繊細な表情に富んだ再現部は雄大なカデンツァへ。ピアノのきかせどころである。終結部では最後に向けて再び大きな盛り上がりをみせ、堂々と曲を閉じる。演奏所要時間は約20分。

第2楽章 アンダンティーノ・センプリーチェ:8分の6拍子、やわらかいピッチカートの伴奏にのせて、フルートの主要旋律がしなやかに歌われる。そこに暖かな音色で登場するピアノパート。そのひかえめなテクスチュアも、曲の叙情性をより深めている。ワルツ風の中間部は、フランスの古いシャンソンがもとになっているといわれている。ピアノの軽快さ、華やかさがみせどころであろう。演奏所要時間は約7分半。

第3楽章 アレグロ・コン・フォーコ:ロンド形式。躍動感、生命力あふれる終楽章。ピアノの技巧的な華やかさも随所にちりばめられている。二つの主要主題から成っており、第一の主題は、ウクライナに古くからある快活な舞曲からとられたもので、それはロシア農民の春の喜びを表している。第ニの主題は、優美で、穏やかな性格をもつ。しかしこれは、曲の最後では圧倒的なスケールをもって、生命への賛歌と発展する。曲全体をしめくくるにふさわしい豪華絢爛なフィナーレだ。演奏所要時間は約7分。

執筆者: 和田 真由子

楽章等 (3)

第1楽章

総演奏時間:20分00秒 

解説0

編曲0

第2楽章

総演奏時間:7分30秒 

解説0

編曲0

第3楽章

総演奏時間:7分00秒 

解説0

編曲0

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ピアノ協奏曲 第1番 第1楽章より
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瀬田 敦子
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