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プーランク :オーヴェルニュのブーレ ハ長調

Poulenc, Francis:Bourree, au Pavillon d'Auvergne C-Dur

作品概要

楽曲ID:149
作曲年:1937年 
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ブーレ
総演奏時間:2分00秒
著作権:保護期間中

解説 (1)

解説 : 西原 昌樹 (1201文字)

更新日:2019年9月30日
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プーランク オーヴェルニュ館のブーレ FP 87

Francis Poulenc : Bourée, au pavillon d’Auvergne FP 87

作品概要

出版年 1937年

初出版社 R. Deiss (のち Salabert)

楽器構成 ピアノソロ

総演奏時間 1分30秒

1937年のパリ万博は、不穏な国際情勢下で開幕しながらも、趣向を凝らした各国の出展が話題を集めて盛況となった。万博の開催を記念し、マルグリット・ロンが中心となって2種のピアノ曲集が企画刊行された。1つはフランス人作曲家8人(オーリック、ドラノワ、イベールミヨープーランクソーゲシュミットタイユフェール)の作品を集めた “À l’Exposition” (博覧会にて / Deiss 刊)、もう1つはパリ在住の外国人作曲家9人(チェレプニンマルティヌーモンポウ、リエティ、オネゲルアルフテルタンスマン、ミハロビッチ、ハルシャニー)の作品を集めた “Parc d’Attractions-Expo 1937” (1937年万博の遊園地 / Max Eschig刊)である。いずれも各作曲家の個性が発揮されていることに加え、戦間期最後の歴史的イベントの種々の場面をあざやかに活写した記録となっており興味深い。

フランスの各地方が独自にパビリオンを出展した中に「オーヴェルニュ館」があった。本作品はこれに取材したものである。ハ長調、2分の2拍子、Modéré (中庸に)。左手単音の8分音符の軽快な連打に乗って、右手で民謡調の親しみやすいメロディが歌われる。主音に固定された低音はバグパイプのドローン(持続低音)のように響き、のどかな田園の雰囲気を表出する。中盤で物憂く謎めいた曲想に傾くが、再び快活なハ長調に戻って終止する。小粒な中にもしゃれたアクセントとスパイスをきかせた佳品といえる。プーランクはノワゼーに城館を所有し、創作のための別邸として好んで滞在したが、本作品もノワゼーで作曲され1937年5月7日に書き上げられた。

マルグリット・ロンは同時代の音楽に関心を寄せて多くの新作の初演に携わり、門下にも積極的に演奏するよう奨励したことで知られた。本作品の初演は1937年6月25日、博覧会場内の「女性と子供と家族館」(Pavillon de la Femme, de l’Enfant et de la Famille)にて、ロンの門下生であった8歳の少女、フランソワーズ・ゴベ(Françoise Gobet)により行われた。ゴベはのちにパリ音楽院ピアノ科を首席で卒業し、フランスの現代曲を得意とするピアニストとして名声を博した。

執筆者: 西原 昌樹
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