次の6曲は、1932年に作曲された。
第1番 ロ短調 4分の4拍子
左右の手で紡ぎ出す1本のラインで始まり、曲が進むにつれてテクスチュアを変化させていく。途中で、僅かながら4分の2拍子に変化する部分がある。
第2番 変イ長調 8分の3拍子
左右の手による並進行を主体とした曲。
第3番 ロ短調 2分の2拍子
テクスチュアが多様に変化する曲。多声的な部分では、各声部の役割が明確に書き分けられている箇所と、せわしなく入れ替わる箇所とがある。また、ユニゾンとなる部分もある。曲の終わり近くには、1小節分のみ、2分の1小節が挿入されている。
第4番 変イ長調 4分の4拍子
3段譜で書かれた曲。音域も、幅広く扱っている。冒頭にプレスト・コン・フォーコの指示が添えられている点、最下声部の音価が主として長い点などから、響きの厚みがある曲となっている。また、途中で、僅かながら、4分の2拍子や4分の5拍子となる部分がある。
第5番 イ短調 4分の4拍子
この曲のメロディーは半音階的である。主として、多声的に書かれているが、1つの音を複数の声部で共有する手法がとられている。また、途中で、僅かながら、4分の2拍子や4分の3拍子となる部分がある。
第6番 変ロ長調 2分の2拍子
リズムのおもしろみのある曲。そのようなリズムで響きが小気味よく変化していく。
次の曲は1933年に作曲された。
第7番 ハ長調 4分の4拍子
メロディーの弧の大きさの大小がフォーレを想起させる曲風。このメロディーには、適度に半音的な音の動きが含まれている。1927年の<ノヴェレット 第1番>にも通じるものを感じさせる。途中で、僅かながら、4分の2拍子や4分の3拍子となる部分がある。
次の3曲は1934年に作曲された。
第8番 イ短調 4分の2拍子
メロディーは、付点のリズムや半音階的な音の動きを特徴的に用いている。最後は、7の和音の分散和音を上昇させた後に、低音を1つスタッカートではじいて終わる。
第9番 ニ長調 4分の2拍子
この曲のメロディーは、跳躍音程を主体としながらそこに半音階的な音の飾りが施されたものである。そして、スタッカートや「2音スラー」が多用されている。また、途中で、僅かながら、4分の3拍子となる部分がある。
第10番 <音階賛美> ヘ長調 4分の4拍子
文字通り、音階を多用した曲。主として、3つの声部で構成されているが、どの声部も音階を扱っている。但し、それらの音階の音の変わり目は各声部により異なる。そのため、そのようにして組み合わされた音階が生み出す響きのおもしろみが味わえる。途中で、僅かながら、4分の2拍子となる部分がある。
次の2曲は1941年に作曲された。
第11番 ト短調 4分の4拍子
和音が歌い上げるメロディーに、弾むような分散オクターヴが添えられた曲。
第12番 <シューベルト讃> 変ホ長調
この曲で、プーランクは、ワルツによってシューベルトを讃えている。リサイタルのアンコールにふさわしいような小品である。
次の2曲は1958年に作曲された。
第13番 イ短調 4分の3拍子
この時はまだ完成していなかった<ノヴェレット 第3番>のメランコリックな情緒を想起させる曲風。この曲のメロディーは、哀愁の漂うものでありながら、さらりと歌われる。そして、幅広い音域を扱う伴奏が添えられている。
第14番 変ニ長調 8分の6拍子
主として、3つの声部で書かれている。そして、曲線を描きながら幅広い音域を扱っている。途中で、僅かながら、8分の3拍子となる部分がある。
次の曲は1959年に作曲された。
第15番 <エディット・ピアフ賛> ハ短調 4分の3拍子=8分の9拍子
タイトルにある通り、エディット・ピアフへのオマージュとなっている。旋回するようなメロディーが甘くせつない、歌心のある曲。最下声部は、メロディーと反進行をしたり、音価の長い音で支えたりしながら、メロディーと影ながらのデュエットを仕立てている。