この曲を演奏するにあたり注意点はいくつかあるのですが、まずは分析してみましょう。曲は3部形式で、ABAになります。 A 1-16小節間 B 17-24小節間 A 25-32小節間 となります。最初のAから見て行きましょう。1-8小節間、9-16小節間にきれいに分かれます。この曲の長はD-durですが、どちらもドミナントで終わっていることに注目します。メロディー音は1小節目、右手のE、3小節目、右手のD、5小節目、右手のCisと順次進行で下行し、7小節目2拍目の右手Aに達します。そして9-16小節間もメロディーに関しては全く同じ事が繰り返されます。
筆者がかなり悩んだのは保続音のAです。1小節目、3小節目、5小節目、6小節目、にそれぞれAが出てきますね。本来であればこれは、例えばリストのラ・カンパネラのような保続音に過ぎず、メロディーでは無いと考えます。ところがこの楽譜はメロディーラインと同じ声部に保続音が書かれてあり、これをメロディーと考えるのかどうかかなり悩み、未だに答えは出ていませんが、筆者であればこの一連のAをそこまで強調することは無いと思います。即ち:Fis G E A A A とメロディーを考えるよりは、Fis G E と考えた方が理に適うような気がします。