作曲家はもしかしたら、小さな子供が演奏することに気を使い、大きなリーチは勿論、ペダルも踏む必要が無いように曲を書いたのかも知れないのですが、それが逆にこの曲を弾きにくくしているかもしれません。筆者も何度か弾いてみましたが、この曲を仕上げることは難しいです。特にペダルを付けた場合、とても難しくなります。

この曲はペダルが無くても弾けるように書かれています。しかしペダルを全く使わないで演奏をすると、とても乾いた音楽にきこえます。小さな生徒さんにはアシストペダルでも構いませんので、少しでもペダルを入れるようにご指導下さい。

以下は3種類のペダリングのオプションです。

1.  2つの種類の小節があるとお考え下さい。1つは、和音が3つ、1拍ずつ3拍分ある小節と、

もう1つは、和音が1つだけ、一小節内にある小節です。1小節目は、和音が3つあり、2小節目は、1つの和音しかありません。3小節目は3つ、4小節目は1つといった具合です。和音が3つある小節は、ペダルを入れる場合、3回、和音が変わる度にペダルを踏み替えます。2小節目の様に和音が1つしかない小節は、ペダルを1小節間踏み続けても大丈夫です。

2.  3つの和音がある小節はペダルを使わず、1つの和音がある小節のみペダルを用います。例えば、1小節目と3小節目などはペダルを使わず、2小節目や4小節目はペダルを1小節分踏み続ける方法です。

3.  フレーズから次のフレーズに行く際に、プツリと切れてしまう現象を避けるためのペダリングです。例えば、9小節目からペダルを無しで10小節目の3拍目まで弾きます。3拍目の音を弾いた瞬間にペダルを踏み、11小節目の1拍目でペダルを離します。これでフレーズ間の切れ目がなくなります。

などのオプションが考えられますので、生徒さんと相談の上、ペダルを決定して下さい。

次に重要な事は方向性になります。2小節単位とお考えになられる先生もいらっしゃるとは思いますが、Aセクションは4小節単位で考えてみましょう。 仮に、1-4小節間を1つのフレーズとした場合、ゴールの音として向かっていくのは2小節目の1拍目、右手のDisに向かいます。

Bセクションは2小節単位で考えます。9ー10小節間、10小節目の1拍目、メロディーのH

に、11ー12小節間、12小節目1拍目のメロディー音、Fisにそれぞれ方向を定めます。

それらの、向かう音が決定しましたら、そこへ向かって進み、その音を過ぎたらテンションやタイミングを緩めるようにします。ある程度のルバートがかかっても良いと筆者は思います。

あとは、左右のバランスに気を使って下さい。左手がおおきくなると、この曲は台無しになります。左右の手が近い位置にあればあるほどバランスを保つように心がけます。

音楽的な注意点ですが、この曲は決して楽天的な楽しい曲ではありません。どちらかというと悲しみの表現です。さらりと器用に弾くのではなく、悲しみを感じながら、少し重たさがあっても良いと、筆者は個人的には思います。