ピアノ協奏曲第2番に比べると演奏される機会は少ないが、ドラマチックな曲想、豊かな旋律、ピアニストに求める高い技巧と表現力などによって、ラフマニノフの円熟した作風が余すところなく発揮されている作品。
1909年に作られたとされ、最初のアメリカ演奏旅行でこの協奏曲が演奏された。のちに経済的な事情からアメリカで演奏、録音活動をすることになるのだが、このときはアメリカ流の音楽活動が意にそぐわず、契約もせずに祖国へと戻った。
第一楽章で現れるユニゾンの旋律が全体を貫く主題で、ラフマニノフらしい独特の郷愁に満ちている。1楽章はカデンツァを含み、アダージョの第2楽章、簡潔でありながら力強く邁進する第3楽章という構成。