作品概要
解説 (1)
執筆者 : ピティナ・ピアノ曲事典編集部
(638 文字)
更新日:2010年1月1日
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執筆者 : ピティナ・ピアノ曲事典編集部 (638 文字)
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「夜のガスパール」というタイトルは、ボードレールにも影響を与えたという夭折した無名の詩人アロイジュス・ベルトラン(1807~1841)の64篇から成る散文詩集のタイトルである。ラヴェルはこの中から幻想的で怪奇性の強い3篇を選び、そのイメージに大変な技巧を織り交ぜながら情熱的なピアノ曲に仕上げた。
1.オンディーヌ / "Ondine"
第1曲の「オンディーヌ」では、細かく刻まれた右手の連打の響きの中に、優雅で幻想的なメロディーが浮ぶ。人間の男に恋をしたオンディーヌ(水の精)が結婚をして湖の王になってくれと頼む。男がそれを断ると、オンディーヌはくやしがり、しばらく泣くが、やがて大声で笑い、激しい雨の中を消え去る。この上なく緻密な書法によって、水の世界を見事に表現している。
2.絞首台 / "Le gibet"
絞首刑囚の死を告げるような鐘の音が、終始一貫して変ロの音で刻まれる。夜になると、その鐘の音に交じって聞こえてくるのは、風か、死者のすすり泣きか、頭蓋骨から血のしたたる髪をむしっている黄金虫か……。不気味な夜の世界、死の世界を、鋭い和声感やリズムをもって、リアルに描き出している。
3.スカルボ / "Scarbo"
「スカルボ」とは悪戯好きの妖精のことで、部屋の中を目まぐるしくかけめぐり、悪戯ばかりする。この様子をかなり特殊なテクニックを含む名人芸的な難技巧を盛り込み、鮮やかに表現している。あらゆるピアノ曲の中でも技術的に最も弾きにくい難曲として知られる1曲である。
執筆者:
ピティナ・ピアノ曲事典編集部
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