スクリャービン :マズルカ ヘ長調
Scriabin, Alexander:Mazurka F-Dur
解説 : 山本 奈央 (315文字)
1889年に作曲された《マズルカ》ヘ長調は、《マズルカ》ロ短調と同時期に作曲されたスクリャービンが17歳の時の作品である。1888年にモスクワ音楽院に入学し、在学中に《ピアノ・ソナタ》変ホ短調や《モニゲッティのアルバムのページ》などが作曲された時期であった。三部形式からなるマズルカは快活な3拍子のリズムに上行、下行を駆使した右手のメロディーが印象的な冒頭部分から始まる。中間部ではニ短調に転調し、刺繍音を含めたパッセージとクレッシェンド、フォルテからのPPPという急激なダイナミクスが含まれるが、これはスクリャービンの特有の作曲技法である。また、終結部では中間部と同部分が同主調のヘ短調として現れ、PPPPにより静かに終止する。
演奏のヒント : 山本 奈央 (222文字)
【演奏のヒント】
この作品は速度記号「Vivace」の表記がありますが、速度よりも「活発さ」を意識して弾くようにすると作品の本質をつかむことができると思います。作品は4小節のフレーズによって構成されますが、3拍子の拍子(2拍目、3拍目)が決して重くならないようにしましょう。第57小節目からは強弱記号PPPとうんと小さくからはじめます。8小節のフレーズが続きますが、8小節目が頂点になるように右手の短いスラーを使ってデュナーミクを付けてください。
マズルカ
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