作品概要
作曲年:1911年
出版年:1913年
初出版社:Universal
楽器編成:ピアノ独奏曲
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:6分00秒
著作権:パブリック・ドメイン
解説 (1)
執筆者 : 岡田 安樹浩
(714 文字)
更新日:2009年9月1日
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執筆者 : 岡田 安樹浩 (714 文字)
非常に短い6つの小曲からなるOp.19は、『3つのピアノ曲』Op.11や『5つの管弦楽曲』Op.16において見出した可能性を推し進める形で、1911年に作曲された。その結果シェーンベルクは、それ自体で完結していて展開する必要のない主題によって、この6つの小曲を作曲した。
その結果、6つの小曲にはいずれの間にも関連がなく、各曲を特徴づけているのは音型とデュナーミクのみであるといっても良い。そして、一部には和声的な処理が認められるものの、長調、短調、フリギア旋法などが目まぐるしく入れ替わるために、和声的な響きはあっても調性は全く機能していない。
例えば、第1曲の冒頭のフレーズはロ長調に属すと考えられるが、和声はロ音から始まるフリギア旋法のVII度の9の和音からロ長調VI度、I度、ふたたびフリギアのII度、といった具合に進行する。こうした極度に拡大された和声的な背景によって、シェーンベルクの言う「汎調性」という表現が追及されているわけである。
また、第2曲はスタッカートの8分音によるリズム的特徴をもったテクスチュア、第3曲は対極に位置するデュナーミクによって特徴づけられているなど、それぞれの楽曲が個別の表現を追求している。
第4曲と第5曲には、かろうじてヘ音から始まり、ロ音の終止音へ向かうという共通点を見出すことができるが、前者がリズムの多様性とデュナーミクの変化によって成り立っているのに対して、後者は多声的なテクスチュアによって構成されている。そして第6曲は、極端な弱音の要求によって特徴づけられる。
この作品以降、シェーンベルクがこのような方向性で作曲を進めることはなくなり、弟子のヴェーベルンに受け継がれることとなる。
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