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リスト : スペイン狂詩曲(スペインのフォリアとホタ・アラゴネーサ)

Liszt, Franz : Rhapsodie espagnole (folies d'Espagne et jota aragonesa) S.254

作品概要

作曲年:1863年 
出版年:1867年 

楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ラプソディー
総演奏時間:13分30秒

解説 (1)

執筆者 : 岡田 安樹浩 (727文字)

更新日:2008年11月1日
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『ハンガリー狂詩曲集』に代表されるように、リストは民謡などの土着の(と思われる)音楽を収集し、それらをもとに作曲を行っていた。『スペイン狂詩曲』もこの種の作品と考えて間違いない。スペインの民謡を基にした他の作品には、1836年の『スペインの主題「密輸入者」による幻想的ロンド』S.252や、1845年の『スペインの歌による演奏会用大幻想曲』S.253があるが、『スペイン狂詩曲』はこれらの成立よりずっと後の1858年である。なお、『スペインの歌による演奏会用大幻想曲』S.253には『スペイン狂詩曲』と同じ旋律素材が用いられており、本作品はこの作品の改作と考えられる場合もある。

一般に1863年にローマでまとめられたとされており、これがイコール作曲年とされていたが、ドイツの音楽事典MGG第2版のリスト作品表では、作曲年が1858年に訂正されている。

作品の内容は『ハンガリー狂詩曲集』とも似て、テンポの遅い部分と速い部分の対比によって楽曲が構成されている。カデンツァ風の導入に続いて、前半は「フォリア」というイベリア半島に起源を持つゆっくりとしたテンポの舞曲によっている。「フォリア」は短調で定型化したバスと和声進行をもとに変奏を行うという演奏慣習があり、リストもこの慣習の通り変奏曲形式で作曲している。後半部分、速いテンポの「ホタ」は、スペインのアラゴン地方が起源の熱狂的な舞曲『ハンガリー狂詩曲集』における「フリシュカ」を思わせる。「ホタ」で劇的な盛り上がりを作ってもなおリストは筆を休めず、前半のフォリアが長調で華やかに再現されて楽曲を閉じる。リストによって短調のゆったりとしたフォリアの主題は、全曲を堂々と閉じる主題へ「変容」させられたのである。

執筆者: 岡田 安樹浩