ベートーヴェン :ディアベッリのワルツの主題による33の変奏曲 Op.120
Beethoven, Ludwig van:33 Veränderungen über einen Walzer von A.Diabelli Op.120
執筆者 : 稲田 小絵子 (391文字)
ベートーヴェンの最後のピアノ変奏曲であり、彼のこれまでの変奏技法が駆使された集大成である。
作曲のきっかけは、1819年のディアベリからの依頼にある。それは、彼の作った主題から、当時のヴィーンの作曲家たちにひとつずつ変奏を作曲してほしいというものであった。その中にはチェルニーやシューベルト、そして若きリストも含まれていた。ベートーヴェンにその誘いがかかったとき、彼はそれを拒否したにもかかわらず、結局ひとりで33もの変奏を作曲し、ディアベリの依頼を受けて作曲された寄せ集めの変奏曲よりも先に出版してしまったのである。
作品は、速度表示や拍子、調性などの変化によって、さまざまなキャラクターをもつ変奏に仕立てられている。しかし、主題の動機素材が徹底的に活用された多彩な変奏が集まっているにもかかわらず、周期的に主題を想起させやすい変奏が挿入されているために、全体の統一感を失っていない。
[CBJ 2020]ベートーヴェン:ディアベリのワルツの主題による33の変奏曲 Op.120 ハ長調