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ベートーヴェン :ピアノ・ソナタ 第15番「田園」 Op.28 ニ長調

Beethoven, Ludwig van:Sonate für Klavier Nr.15 "Pastorale" D-Dur Op.28

作品概要

作曲年:1801年 
出版年:1802年 
初出版社:Bureau d'art et d'industrie
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:25分00秒

解説 (1)

執筆者 : 岡田 安樹浩 (1864文字)

更新日:2009年3月1日
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「田園」の名で親しまれている本作は、前作Op.27-2の完成直後に着手されたものと思われる。この作品の愛称である「田園」は、「熱情」の名づけ親ともなったハンブルクのクランツ社が作曲者の死後1838年に出版した際に名づけたものである。よってこの表題は作曲者の意図とはなんら関係がないが、第1楽章における保続音上の穏やかな響きの主題や終楽章の八分の六拍子による楽想からも、この表題は楽曲の内容を端的に表現しているといえよう。

(第1楽章)ニ長調 4分の3拍子 ソナタ形式

[提示部]

主音の保続音上にIV度調の属和音から開始される主要主題が3回確保されることで、主要主題の支配力を強固なものとしている(1回目:第11小節~/2回目:第22小節~/3回目:第29小節~)。

推移部(第40小節~)を経て、第77小節よりあたかも副次主題を思わせる楽想があらわれるが、これは副次主題への経過句であり、主題は属調であるイ長調が確立される第91小節からである。確保(第109小節~)を経て、主要主題の動機によるコデッタ(第131小節~)となる。

[展開部+再現部]

ト音の保続音とともに主要主題の動機が展開される。ト短調、ニ短調、イ短調、ホ短調、そしてロ短調へと5度圏を昇って行く。ロ短調の属和音が消え入るように鳴り響く中、推移部の動機が顔をのぞかせ、再現部(第269小節~)をむかえる。

再現部では主題の確保(第279小節~)が若干変形されている。推移部、副次主題への経過句を経て、第365小節より副次主題が主調のニ長調であらわれる。副次主題の確保(第383小節~)も省略されることなく行われ、コーダ(第407小節~)では最後に主要主題を回想して楽章を閉じる。

(第2楽章)ニ短調 4分の2拍子

Andanteの緩やかな楽章であるが、ニ短調の深刻な主題と二長調の明るい響きの主題とのコントラストが強調された音楽である。

ニ短調の部分は、まずスタッカートのバス進行の上に和声づけされた主題があらわれた後、属音(イ音)の保続連打音の上に付点リズムの性格的な主題があらわれる(第9小節~)。この後最初の主題が、今度はオクターヴ奏で回帰する(第17小節~)。続いてニ長調へ転調し、付点リズムとスタッカートの16分3連音符による主題があらわれる(第23小節~)。 第39小節よりニ短調に戻り、冒頭の主題が再現されるが、前半では反復記号によって繰り返されるのみだった部分が装飾的に変奏され、発展的にあつかわれている。最後にニ長調部分の主題がニ短調であらわれ(第89小節~)、この3部分からなる楽章を終える。

(第3楽章)ニ長調 4分の3拍子 スケルツォ

スケルツォ楽章は4オクターヴにわたる嬰ヘ音の下降で開始され、これと和音の2回刻みによって印象付けられる主題によって構成されている。途中この2つの要素が上下に融合された形であらわれた後(第33小節~)、冒頭では単音だった4オクターヴ下降音型が今度はニ長調の主和音であわられる。

トリオ部分では平行調であるロ短調へ転調し、断片的であった主部の主題とは対照的な楽想があらわれる。ダ・カーポの指示で主部へ戻り、楽章を終える。

(第4楽章)ニ長調 8分の6拍子 ロンド

フィナーレはロンド・ソナタ形式。主音が断続的にバスにあらわれるオスティナート風の音型の上にロンド主題が印象的である。16分音符のアルペジオによる経過句(第17小節~)を経て属調であるイ長調で新しい主題があらわれる(第29小節~)。このイ長調主題を構成するリズムは、ロンド主題のバス声部のオスティナート音型からとられている。16分音符によるアルペジオとトレモロによる経過句(第43小節~)を経てロンド主題が回帰する(第52小節~)。中間部ではロンド主題バス声部のオスティナート・リズムと、上声のタイのついたリズムとが発展的に扱われる(第67小節~)。

16分音符のアルペジオとトレモロのパッセージを経て、ロンド主題が回帰する(第114小節~)。ここから再現部となり、先のイ長調主題は主調であるニ長調であらわれる(第145小節~)。

コーダ(第169小節~)ではまず、下属調であるト長調でオスティナート音型がピアニシモであらわれ、これが発展的に反復してフォルティシモへ到るとアルペジオ音型が断片的にあらわれる。最後に速度をPiu Allegro quasi Prestoに上げ、ロンド主題のバス・オスティナートの上に16分音符の華やかなパッセージが繰り広げられて楽曲を閉じる。

執筆者: 岡田 安樹浩

楽章等 (4)

第1楽章

総演奏時間:10分30秒 

第2楽章

総演奏時間:7分00秒 

第3楽章

総演奏時間:2分30秒 

第4楽章

総演奏時間:5分00秒 

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