スクリャービン :夜想曲 変イ長調
Scriabin, Alexander:Nocturne As-Dur
解説 : 山本 奈央 (289文字)
1884年から1886年に作曲された作品は、《カノン》ニ短調や《ロマンス》の後に作曲されたと考えられ、陸軍幼年学校時代に作曲されたものであり、1884年、ニコライ・ズヴェーレフにピアノを、1885年にセルゲイ・タネーエフに作曲を師事した時期であった。その後、《2つの夜想曲》作品5や《左手のための2つの小品》作品9の2などで展開されていく。三部形式で書かれ、穏やかな波の中で冒頭が始まり、ヘ短調への一瞬の転調や重音によるパッセージにより更にドラマティックに展開していく。中間部はハ長調による房上和音のメロディーが常に鐘のように鳴り響く。全体的にロマンティックな作品となっている。
演奏のヒント : 山本 奈央 (404文字)
【演奏のヒント】
ABAの三部形式、4小節で一つのフレーズで構成されます。Aは右手が旋律、左手が伴奏部となりますが、左手の16分音符はレガートで大きな音にならないように、波が静かに寄せては返すようなイメージで弾いてください。また、第3小節目や第7小節目などのアクセントは強調してしまうと音楽の流れと異なるため、ここは少しテヌートで弾くように、突出して音が出ないように気をつけましょう。第17小節目のBからは和音が続きますが、一番上の音が聞こえるように意識をします。ここの強弱はピアノ→フォルテ=陰と陽のように表情を変えて、強弱の差をはっきりつけるようにしましょう。第21小節目よりBが発展しますが、第22小節目右手の32分音符は半音階を目立たせてフォルテに移行するようにするとより細やかな表現につながると考えられます。曲全体のイメージを捉えて、作品にふさわしいアーティキュレーションの表現を考えてみてください。
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