作品概要
楽器編成:室内楽
ジャンル:種々の作品
総演奏時間:2分20秒
著作権:パブリック・ドメイン
解説 (2)
解説 : 山本 奈央
(325 文字)
更新日:2023年7月10日
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解説 : 山本 奈央 (325 文字)
1894年から1897年にかけて《ホルンとピアノのためのロマンス》WoO 21は作曲され、1927年遺作として出版された。有名なフランスのホルン奏者、ルイス・サヴァールのためにスクリャービンが作曲したものであり、スクリャービン博物館に現物が残されている。ホルンだけでなくチェロ版としても出版された。スクリャービンの室内楽曲は極めて少なく、珍しい作品の一つである。三部形式となるこの作品は、ピアノ伴奏は終始ポリリズムで書かれ、メロディーを演奏するホルンまたはチェロの主旋律とピアノ伴奏のリズムが途中で重なるようになっている。後半に向かうにつれて徐々にダイナミクスが勢いを増し、再現ではドラマティックにメロディーが奏される短いながらも華々しい作品である。
演奏のヒント : 山本 奈央
(500 文字)
更新日:2023年7月10日
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演奏のヒント : 山本 奈央 (500 文字)
【演奏のヒント】
ピアノ曲を多く作曲したスクリャービンには珍しい室内楽作品となっています。メロディーはホルンあるいはチェロが主導し、ピアノは伴奏となりますが、ピアノは右手の三連符をメロディーと絡ませ、ポリフォニックに聞こえるように演奏してください。またピアノは2小節単位でフレーズがありますが、メロディーの4小節1単位と同様に長いフレーズで感じるように弾く必要があります。第17小節目からはピアノが主旋律になりますので、ここでは一番高い音を意識して、中音域の三連符が大きくならないようにしましょう。
第25小節目からは楽器同士の掛け合いが始まります。第29小節目からは左手の和音の連打も使ってクレッシェンドをして、ホルンまたはチェロの主旋律のフォルテに繋いでください。第41小節目からはどちらの楽器もユニゾンで歌います。ここはドラマティックに展開される部分ですので、少しルバートをかけてもいいのでメロディーを膨らませて歌うように弾いてください。旋律のモティーフとなるシンコペーションですが、チェロの弓を弾き出すときのように頭の音に少し長さを加えると音に深みが増して作品のより良い表現につながると思います。