スクリャービン :カノン ニ短調
Scriabin, Alexander:Canon d-moll
解説 : 山本 奈央 (317文字)
1883年、スクリャービンが11歳の時に作曲されたものであり、現存する中では、最初に完成させた作品である。1882年に陸軍幼年学校に通い、翌年1883年にゲオルギイ・コニュスにピアノを学んだ。その後、スクリャービンの才能は著しく成長し、1884年、ニコライ・ズヴェーレフにピアノを、1885年、セルゲイ・タネーエフに作曲を学び、1888年モスクワ音楽院に入学した。このカノンニ短調は、3声による短い作品であるものの、内声は8分音符が常に流れ、両外声に現れるメロディーがカノンとなり、全体的にポリリズムで構成される。
これは、スクリャービンの作風に度々現れる手法で、既に幼少期の頃より、このスタイルが確立されていることがわかる作品である。
演奏のヒント : 山本 奈央 (261文字)
【演奏のヒント】
作品は3声のポリフォニーによって書かれています。両外声がカノンになっており、内声が伴奏となります。三連符のメロディーが特徴的ですが、音がきれないようレガートを忘れずに、内声の三度の和音は大きくならないように気をつけましょう。第17小節目からはニ短調から平行調のへ長調へ移調しますが、すぐにニ短調へと戻ります。特に第22小節目の左手「Des」や第23小節目の右手「Cis(Desの異名同音)」など転調に含まれる音の変化がメロディーのなかで度々見られますので、調性の移り変わりを意識するように弾いてみましょう。
カノン ニ短調
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