作品概要
作曲年:1878年
出版年:1878年
初出版社:Jurgenson
楽器編成:ピアノ独奏曲
ジャンル:子供のための作品
総演奏時間:20分30秒
著作権:パブリック・ドメイン
解説 (1)
執筆者 : 齊藤 紀子
(2987 文字)
更新日:2007年11月1日
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執筆者 : 齊藤 紀子 (2987 文字)
作品37のソナタと同じ時期、チャイコフスキー(1840-1893)が38歳の時(1878年)に作曲された。前年からのヨーロッパ旅行の後に妹の嫁ぎ先を訪れ、当時7歳の甥、ウラディミール・ダヴィドフに捧げた。尚、この作品は、ロベルト・シューマンの《子どものためのアルバム》との関連が指摘されている。各曲のタイトルは、自筆譜ではロシア語で書かれており、初版を出版する際に、フランス語に翻訳されたと考えられている。
第1曲目は<朝の祈り>。アンダンテの4分の3拍子で書かれたこの曲は、「A-A’-B」のバール形式の形をとっている。そして、コラールの性格を有する。
第2曲目は<冬の朝>。アレグロの4分の2拍子で書かれたこの曲は、3部形式の形をとっている。そして、叙情的な性格に満ち溢れている。そのような抒情性には、2拍目の裏にしばしば置かれた8分休符が一役買っていると考えられる。
第3曲目は<木馬遊び>。「小さな騎士」と呼ばれることもある。3部形式の形をとっており、8分の3拍子の急速な曲(プレスト)となっている。そして、絶えず8分音符が刻み続けられる。
第4曲目は<ママ>。モデラートの4分の3拍子で書かれたこの曲は、コーダを伴う3部形式の形をとっている。尚、チャイコフスキー自身は14歳の時に母親を亡くしている。メロディーも伴奏も隣り合う音への進行と跳躍音程との織り合わせにより構成されており、母親に甘える子どもの様子を想起させる。
第5曲目は<木の兵隊の行進曲>。モデラートの4分の2拍子で書かれたこの曲は、3部形式の形をとっている。シューマンの同じく兵隊を標題に持つ作品、《子どものためのアルバム》の第2曲目、<兵士の行進曲>との音形の類似が指摘されている。
第6曲目は<お人形の病気>。モデラートの4分の2拍子で書かれたこの曲は、「A-A’」の形をとっている。そして、第7曲目、第9曲と明白に、1つの物語を構成している。この曲では、左右どちらかの手に必ず見られる1拍目に置かれた4分休符が特徴的である。
第7曲目は<お人形の葬式>。アダージョの4分の2拍子で書かれたこの曲は、3部形式の形をとっている。そして、付点によるリズムが特徴的な葬送行進曲となっている。
第8曲目は<ワルツ>。アレグロ・アッサイのこのワルツは、「A-B-C-B-A」の形で書かれている。
第9曲目は<新しいお人形>。アレグロの8分の3拍子で書かれたこの曲は、3部形式の形をとっている。第6曲目の<お人形の病気>では下降音形が特徴的であったのに対し、<新しいお人形>と名付けられたこの曲では上行音形が特徴的である。また、ト短調で書かれた第6曲目の平行調にあたる変ロ長調で書かれており、この2曲の間には密接な関係を見出すことができる。
第10曲目は<マズルカ>。アレグロ・ノン・トロッポのこのマズルカは、3部形式で書かれている。左手の2拍目に置かれた4分休符が特徴的である。
第11曲目は<ロシアの歌>。アレグロの4分の2拍子で書かれたこの曲は、「A-A-A’-A’」にコーダが続く形をとっている。そして、この第11曲目から第13曲目までは、ロシアの民俗音楽が色濃く表されている。この曲では、6小節単位のフレーズを反復することにより構成されている。また、同じメロディーを反復することにより、民謡風の性質を強調している。
第12曲目は<アコーディオンを弾く農夫(田舎の前奏曲)>。アダージョの4分の2拍子で書かれたこの曲では、「A-A-A’-A’-A”」にコーダが続く形をとっている。そして、アコーディオンを模した持続音が特徴的である。また、先立つ第11曲目と同様に、同じメロディーを反復することにより、民謡風の性質を強調している。
第13曲目は<カマリンスカヤ>。ヴィヴァーチェの4分の2拍子で書かれたこの曲は、「A-B-A’-A”」の形をとっている。カマリンスカヤとは、中世ロシアの放浪芸人、スコローフの伝統を継承したとされる生き生きとして陽気な民族舞踊の1種である。主として男性が踊り、自由奔放な性格を持つ。また、踊りを競い合うための舞曲として知られている。
第14曲目は<ポルカ>。モデラートで書かれたこのポルカは、3部形式の形をとっている。
第15曲目は<イタリアの歌>。モデラート・アッサイの8分の3拍子で書かれたこの曲は、「A-B-B」の形をとっている。そして、この第15曲目から第18曲目までは、イタリア、フランス、ドイツと各国の歌が次々と歌われる。この曲では、このピアノ曲集を作曲した前年にイタリアのフィレンツェを訪れた際にチャイコフスキーが聴いた少年の歌手、ヴィットリオの歌のメロディーが扱われている。
第16曲目は<フランスの古い歌>。モルト・モデラートの4分の2拍子で書かれたこの曲は、「A-A-B-A」の2部形式の形をとっている。この曲では、流れるように美しく歌い上げられるメロディーに、時折2声となる左手が伴われる。
第17曲目は<ドイツの歌>。モルト・モデラートの4分の3拍子で書かれたこの曲は、3部形式の形をとっている。胸声とファルセットの技巧的な交代を特徴とするヨーデルを想起させる。
第18曲目は<ナポリの歌>。4分の2拍子で書かれたこの曲は、「A-B-C」の形をとっている。アンダンテとなる「C」までの左手の伴奏は、一貫して同じリズムで書かれている。そして、その後は8分音符を主体とした伴奏となる。
第19曲目は<乳母のお話>。モデラートの4分の2拍子で書かれたこの曲は、3部形式の形をとっている。そして、半音階的な音の動きが多用されている。
第20曲目は<バーバ・ヤガー(魔女)>。プレストの8分の6拍子で書かれたこの曲は、3部形式の形をとっている。バーバ・ヤガーは、ムソルグスキーの《展覧会の絵》の中にも登場する。ロシア民話で人間をつかまえてはその肉を食する森に住む痩せた老婆を指す。鉄の臼に乗り、杵でこぎ進む端から、箒でその軌跡を消していくことで知られている。
第21曲目は<甘い夢>。モデラートの4分の3拍子で書かれたこの曲は、3部形式の形をとっている。そして、チャイコフスキーらしい叙情的な性格に満ち溢れている。また、中間ではメロディーが下声で歌い上げられる。
第22曲目は<ひばりの歌>。モデラートの4分の3拍子で書かれたこの曲は、3部形式の形をとっている。尚、「ひばりの歌」は、《四季》にも登場する。まさしくひばりの鳴き声を想起させるような、装飾が多様に施されたメロディーが特徴的である。
第23曲目は<辻音楽史は歌う(手回し風琴)>。アンダンテの4分の3拍子で書かれたこの曲は、「A-B」の形をとっている。そして、オルゴールと同様の仕掛けで自動演奏されるオルガンを模した曲となっている。手回し風琴とは、ハンドルを回してふいごを操作することにより空気を送り込むと、同じメロディーが何度も反復される一種のオルガンとされている。
第24曲目は<教会で>。モデラートの4分の2拍子で書かれたこの曲は、「A-B」の形をとっている。そして、ロシア正教会の合唱を想起させるコラール風の曲となっている。その点で、やはりコラール風の性格を有していた第1曲目との関連があり、この曲集に連環を付与していると考えられる。
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