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バッハ : フーガ ハ長調 BWV 952

Bach, Johann Sebastian : Fuge C-Dur BWV 952

作品概要

楽曲ID:2259
作曲年:1720年 
出版年:1843年
初出版社:Peters
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:フーガ
総演奏時間:2分00秒
著作権:パブリック・ドメイン

解説 (2)

執筆者 : 朝山 奈津子 (423 文字)

更新日:2008年6月1日
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伝承経路が明らかでないために、近年は疑作として扱われることが多い。しかし、《平均律》第2巻第1番BWV870/2、《ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのための音楽帳》第31番のハ長調のフーガBWV953と、構成や雰囲気に類似点が多く、J. S. バッハの真作である可能性はきわめて高いと考えられる。

全体は、3声の主題提示が完結する第5小節以降、2部に分かれる。その中心となるのが第23小節のe-Mollの完全終止である。ここまではd-Moll、a-Mollなど短調をめぐる間句、この中間のカデンツ以降はF-DurからC-Durへと戻る長調の領域である。

前半にも明確な完全終止がたびたび現れる点では、フーガBWV953よりも《平均律》第2巻第1番BWV870/2に近いが、e-Mollのカデンツを楽曲の中間の終止とするところは、フーガBWV953の姉妹作品であるかのように見える。いずれにせよ、バッハのハ長調フーガのひとつの典型をみせる作品である。

執筆者: 朝山 奈津子

演奏のヒント : 大井 和郎 (545 文字)

更新日:2023年11月20日
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C-durではありますが、とてもテンションの高いフーガです。テーマ(主題)自体が下行形ですので、最初の4つの音にクレシェンドをかけても、そこから徐々に音量は下がります。1小節目から始まり、10小節目の最初の音である、右手のGと左手のHまで下がりますが、そこから上行形シークエンスで、2オクターブ分一気に上行し、前半、11小節目3拍目から最もテンションの高いテーマとなります。

そこからd-moll、a-moll、と転調しますが、下行形が基本のテーマですから再び徐々に下行し、17~19小節間、1小節単位の上行形シークエンスで一気に上がり、最もテンションの高いであろうe-mollのテーマに20小節目で入ります。このあと、25小節目まで下行しますので、ディミヌエンドをかけ、25小節目でC-durに戻ります。

そこから先、左右の手は徐々に離れていき31小節目で再びピークに達し、そこから下行形シークエンスで終わるというフーガになっています。

強弱はシンプルに、高い位置にあるテーマや音符に音量を与え、左右の手がともに低い位置にある場合はpで。そして、左右の手が徐々に離れていく時はクレシェンドからフォルテをかけると自然に流れます。

とても機嫌が良く、わくわくするような楽しさを表現して良いと思います。

執筆者: 大井 和郎