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バッハ :フーガ BWV 953 ハ長調

Bach, Johann Sebastian:Fuge C-Dur BWV 953

作品概要

作曲年:1723年 
出版年:1843年 
初出版社:Peters
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:フーガ
総演奏時間:1分40秒

解説 (1)

執筆者 : 朝山 奈津子 (514文字)

更新日:2008年6月1日
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ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハの音楽帖》に第31曲として含まれる作品。曲集等には拾遺されず残された。全体の構成や音楽の雰囲気から、《平均律クラヴィーア曲集》第2巻第1番BWV870/2のフーガを思わせる。この作品はあるいは《平均律》の候補作であったのかも知れない。

フーガの中間の切れ目は第22-23小節にかけてのe-Moll完全終止に生じる。3声の主題提示が行なわれたのちは、この完全終止を中心としてほぼシンメトリックに作られている。しかし、最初の主題提示は明確な完全終止をとらず、第7小節では通過点としてやり過ごされ、第10小節では終止音をオクターヴ下げるというごく単純な手法によって終止感が得られない。明確なカデンツはようやく第14-15小節のa-Mollに起こる。ここからd-Mollを通って長いe-Moll領域へと入っていく。そうして中間の完全終止が訪れる。以降は一転して長調へ向かい、G-Durを高音域で明るく響かせたのち、自然な和声進行の内にC-Durが復帰して、バスに主題を再現して終止となる。

登場する調はいずれも近親調の範囲であり、奇をてらった転調や進行は現れないが、それだけに安定感と明澄さを保っている。

執筆者: 朝山 奈津子