バッハ : フーガ(アルビノーニの主題による) ロ短調 BWV 951/951a
Bach, Johann Sebastian : Fuge über Thema von Tomaso Albinoni h-moll BWV 951/951a
作品概要
作曲年:1710年
出版年:1866年
初出版社:Peters
楽器編成:ピアノ独奏曲
ジャンル:フーガ
総演奏時間:8分10秒
著作権:パブリック・ドメイン
解説 (2)
執筆者 : 朝山 奈津子
(600 文字)
更新日:2007年10月1日
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執筆者 : 朝山 奈津子 (600 文字)
主題はアルビノーニの『トリオ・ソナタ集』Op.1(ヴェネツィア, 1694)第8番第2楽章より借用された。3つのいわゆる「アルビノーニ・フーガ」(BWV946, 950, 951)のなかで、もっとも大規模かつ重々しいフーガ。バッハの最初期のロ短調作品でもある。バッハは後年、ミサ曲を初めとする厳粛な作品をロ短調で生み出したが、その萌芽をここに見ることができよう。
この曲には徹底的に書き直した後期稿 BWV951a が存在する。生硬な対位法や禁則進行を修正し、古いカデンツ定型や常套句は排除された。調構造を見直して新しいセクションを加え、さらに明確な再現部を設けて、初期稿の即興的な流れをシンメトリックな労作へと作り変えた。全体の雰囲気や構成に変化はないが、初期作品にしばしば見られるような古臭さや冗長さを取り除いて、充分に熟した様式に改められている。
バッハは大改造のあともライプツィヒ時代に至るまでずっと手を入れ続けたようで、細部の異なる稿がさまざまの筆写譜に残っている。また、BWV951と951aは後世の手稿資料にもしばしば対で現れ、多くの音楽家がバッハの改訂の軌跡を追う好例として研究したとみられる。同じくロ短調による初期作品《幻想曲》BWV923との取り合わせはバッハによるアイデアではないと思われるが、いくつもの資料に伝えられており、この作品が実践の中で広く受け継がれたことを物語っている。
演奏のヒント : 大井 和郎
(608 文字)
更新日:2023年11月20日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (608 文字)
バッハのh-mollという調は、リズミカルで舞曲調の曲が多くありますが、このフーガはもっと感情的で、奥深く、ゴージャスなフーガです。大変長い曲ですので、間延びしないようにする工夫が必要となります。
それには、強弱は勿論、声部の独立も勿論、ですが、アーティキュレーションを工夫して、多くの音色を作ることがヒントになります。また、ペダルも多く使用してよい曲であると思います。
ペダルを使用することで、最終的に書かれている音価よりも長く伸びてしまう事もあるかもしれませんが、濁りさえ生じなければそれも許容範囲に入るかもしれません。一方で、全くペダルを使用しない、ドライな部分も作ることで、コントラストが生まれます。
奏者はこの長いフーガを分析し、カデンツ等の場所を把握し、曲をわかりやすく演奏するように心がけてください。
103小節目、バスに全音符が書かれ、それが3小節以上もタイで繋がれ、伸ばされています。現代のピアノでも流石に3小節以上分は伸ばせませんので、例えばですが、105小節目でバスのfisを弾き直しても良いと思います。また、103小節目は楽譜の通り単音で、105小節目に至ったときテンションはかなり上がっていますので、105小節目のfisはオクターブで弾いても効果的です。
そのあとの、106小節目から始まる、最後のテーマ(主題)は、フォルテシモでも構わないです。とてもドラマティックに、ゴージャスに終わってください。