このプレリュードは、冒頭から最後まで、とにかく「即興」そのもので、奏者が音価を理解した時点であとは、自由に弾くことが望ましく、まずはメトロノームのようには弾かないことが大前提です。
最も難易度の高い部分は恐らく23小節目から最後の49小節目までのアルペジオの部分で、ここをどのように弾くかで演奏レベルが変わってきます。
ハープシコードの場合、フォルテとピアノくらいしか、強弱の差はありませんが、ピアノは多くの強弱をつけれますので、多くの工夫が可能となります。
23~49小節間を大きく見たとき、ピークポイントであろう部分は2箇所あり、29~30小節間、ソプラノのFisに到達するところ、そして、47小節間同じくソプラノがFisに到達するところです。ここをゴールと考え、そこに向かって行く→到達する→衰退するという流れで、その強弱はソプラノの音の高さと思って間違いありません。音が低くなる場所は、36小節目のDであり、ここが、23小節目以降、最も低いソプラノの位置となります。
その他の注意点としては、非和声音に気を配ること。例えば、28小節目、ここは本来 H D Fisという和音で構成されて良い場所なのですが、最初の和音には、Cis E Aisという3つの非和声音が入ってきます。そしてそれは3拍目の次の和音で解決されますので、解決音は必ず、非和声音よりも弱く弾きます。
同様に、多くの非和声音が書かれていますので、和音の解決は決して大きくなりすぎないようにして下さい。