チャイコフスキー :「四季」-12の性格的描写 11月 「トロイカ」 Op.37bis ホ長調

Tchaikovsky, Pytr Il'ich:Les saisons - 12 Morceaux caracteristiques No.11 "Troika en traineaux" E-Dur

作品概要

楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:2分30秒

解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (1056文字)

更新日:2018年3月12日
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11月「トロイカ」  この曲は技術的に大変難しい曲ですので、上級者向けであると思います。技術的というのは、単に音をしっかり掴むと言うことももちろんですが、幅広い強弱加減や、短いスタッカートで軽さを表現したり、バランスなど、音楽的な表現を十分に表す技術という意味合いもあります。  そしてこの曲に必要で重要な要素は即興性です。奏者はまず、どこが拍の頭であるか等、4分の4拍子のリズムをわかっていなければなりませんが、その後、自由にテンポを変えて即興的に弾かなければなりません。  例えば9小節目から始まるメロディーラインは、1小節目の素材が変化したものに過ぎませんが、それまでのリズム感がここ9小節目から失われていますね。12小節目と、16-17小節目を除いては、この9-17小節間、即興性が必要になります。そこで参考にしたいのが、彼のピアノコンチェルト1番の第1楽章です。このコンチェルトのカデンツはまさにこの9小節目以降と雰囲気が似ています。まだ聴いたことのない学習者は是非聴いてみてください。  よって9-17小節間、オーケストラが休み、ソリストが自由にカデンツを演奏しているように弾きます。メロディーラインはespressでたっぷり歌ってください。  13-22小節間は少しgrandioso的に、テンポをゆっくり目に取ると良いでしょう。  Bセクションは23小節目から始まります。さてこのセクションは45小節目まで続きますが、やはりこのセクションも即興性が求められます。そして決して重くならないように弾いてください。このセクションは、先ほどのコンチェルト1番の第2楽章が参考になるかもしれません。この第2楽章の速いセクションがこの部分と雰囲気的には似ています。  再び戻って来るAセクションは、走り始めたトロイカを思わせる、連続する16分音符によって表現されます。44-45小節でdiminuendoをかけたら、16分音符をppに落として46小節目のAに入ってください。そしてそのまま、ppを保ってください。メロディーラインはゆえに、左手に登場します。そして再び、多くの16分音符が入ってきているにもかかわらず、54ー62小節間、即興的に演奏してください。  よくこの曲の最後をゆっくりして終わる奏者がいます。楽譜をごらんください。ritマーキングはありません。この曲はテンポを緩めず終わります。つまりは、「トロイカは遠ざかって視界から消えていく」だけであって、「ソリ自体の速度」を落としてはいけません。

執筆者: 大井 和郎

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