1916年、31歳頃の作品。1922年ライプツィヒにてロベルト・フォルベルグ(Robert Forberg)社から出版され、1978年クロアチア音楽協会(Hrvatski Glazbeni Zavod)からも出版されている。また、ザグレブ出身の音楽愛好家オルガ・シュルツ(Olga Schulz-Granitz)に献呈されている。ドラは、このシュルツ家と大変親しく、室内楽を一緒に演奏して楽しむ機会も多かったようで、彼女の美しい《チェロソナタ》Op. 35もシュルツ夫妻に贈られている。オルガの夫エルネスト・シュルツ(Ernest Schulz)は、ザグレブの音楽評論家として活動していた。《ピアノソナタ》Op. 36の翌年に作曲されたこの《2つの間奏曲》Op. 38では、作曲技法もかなり洗練され、濃密な和声による内省的な音世界は、ブラームスの間奏曲を彷彿とさせる。2曲とも、夢見るような美しい珠玉の作品である。
第1番 Op. 38-1:Ruhig und innig(穏やかに、そして真心込めて)嬰へ長調、2/4拍子
第2番 Op. 38-2:langsan und ausdrucksvoll(ゆっくりと、そして表情豊かに)変ホ長調、3/4拍子