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清瀬 保二 :音なくしのびよるもの

Kiyose, Yasuji:OTO NAKU SHINOBIYORU MONO

作品概要

作曲年:1925年 
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:性格小品

解説 (1)

解説 : 飯田 有抄 (446文字)

更新日:2010年1月1日
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《音なくしのびよるもの》は、清瀬が始めて書いたピアノ作品である。実質的には始めての音楽作品らしい作品、と言えるかもしれない。清瀬は作曲家を夢見て山田耕筰に一時師事するが、違和感を覚えてすぐに門を辞し、その後5年間独学で作曲を修得する。この作品は、その独学の次期にあたる大正13(1924)年、大分の郷里の家で作曲された。

日本人による西洋音楽の作曲が始められて四半世紀というこの頃、スクリャービンの初期のプレリュードに魅せられていた彼は、ピアノ小品に取り組むことを決意した。変ホ短調という調号の多い調を設定し、Lento tranquilloで全32小節をじっくりと歌いこむ作風である。四分音符と二分音符を多用し、後半に僅かに八分音符が低音と上声部に現われる。旋律線を際立たせるというよりは、個々の和音の響きに重点がおかれているようだ。和声進行や内声部の動きに無骨さがみられるが、五音音階により醸し出される厳かな雰囲気は戦前の香が漂い、日本における洋楽史の一通過点として一聴に値する作品である。

執筆者: 飯田 有抄

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