カバレフスキーは、子供のための音楽を多く作曲しており、比較的平易な技巧で、楽しみながら音楽性を養えるものが多い。
2つのソナチネもその一つである。《ソナチネ第1番ハ長調》は、1930年に、《ソナチネ第2番ト短調》は1933年に作曲されている。特に《ソナチネ第1番ハ長調》は軽妙ながら、華やかな雰囲気をもっており、演奏される機会も多い。
しかし、《ソナチネ第2番ト短調》のほうが、より音楽的であることに気づかず、第1番の方ばかりが弾かれ過ぎている、と指摘する声もある。
三楽章からなる。
第1楽章:アレグロ・アッサイ・エ・ルジンガンド
ソナタ形式。呈示部で強奏される和音が華やかな印象を与える。おだやかに奏される第二主題が現れる。展開部では、第一主題と、変形された第二主題が展開され、再現部にすすむ。
第2楽章:アンダンティーノ
二部形式。ロシア民謡の子守唄風の旋律が、優しく歌われる。瞑想的な雰囲気をもった曲。
第3楽章:プレスト
ソナタ形式にのっているが、極めて規模の小さいもの。第一主題の楽句が、全体を通してきかれる。タランテラ調の第二主題、短い推移部を経て、展開部へ。ここでは主に第一主題の展開がおこなわれ、再現部へすすみ、コーダへむかう。