作品概要
作曲年:1930年
出版年:1932年
初出版社:Muzgiz
楽器編成:ピアノ独奏曲
ジャンル:ソナチネ
総演奏時間:7分00秒
著作権:保護期間中
解説 (2)
執筆者 : 和田 真由子
(514 文字)
更新日:2007年8月1日
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執筆者 : 和田 真由子 (514 文字)
カバレフスキーは、子供のための音楽を多く作曲しており、比較的平易な技巧で、楽しみながら音楽性を養えるものが多い。
2つのソナチネもその一つである。《ソナチネ第1番ハ長調》は、1930年に、《ソナチネ第2番ト短調》は1933年に作曲されている。特に《ソナチネ第1番ハ長調》は軽妙ながら、華やかな雰囲気をもっており、演奏される機会も多い。
しかし、《ソナチネ第2番ト短調》のほうが、より音楽的であることに気づかず、第1番の方ばかりが弾かれ過ぎている、と指摘する声もある。
三楽章からなる。
第1楽章:アレグロ・アッサイ・エ・ルジンガンド
ソナタ形式。呈示部で強奏される和音が華やかな印象を与える。おだやかに奏される第二主題が現れる。展開部では、第一主題と、変形された第二主題が展開され、再現部にすすむ。
第2楽章:アンダンティーノ
二部形式。ロシア民謡の子守唄風の旋律が、優しく歌われる。瞑想的な雰囲気をもった曲。
第3楽章:プレスト
ソナタ形式にのっているが、極めて規模の小さいもの。第一主題の楽句が、全体を通してきかれる。タランテラ調の第二主題、短い推移部を経て、展開部へ。ここでは主に第一主題の展開がおこなわれ、再現部へすすみ、コーダへむかう。
演奏のヒント : 大井 和郎
(1229 文字)
更新日:2018年3月12日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (1229 文字)
コンクールの課題や発表会の曲に選ばれる有名なソナチネです。奏者は、他のカバレフスキーの作品(ピアノ、オーケストラなど)もよく耳にしておいて、カバレフスキーのスタイルを知ることが重要です。
このソナチネを演奏するにあたってどうしても必要な要素が1つあります。それはある程度の速いテンポになります。このソナチネを遅く演奏することは全てが重たくなり、曲を台無しにしてしまいます。最低でも2分音符=120は欲しいところです。もちろん出来ることであればそれ以上が望ましいです。
次に必要なことは強いフォルテとマルカートな演奏です。このソナチネは大きく2つに分けることが出来て、皮肉、怒り、決然、と言った部分(冒頭)、それに対して32小節目から始まる悲しい歌の部分の2つです。1小節目から31小節目まではとても強く、厳しく、緊張感があり、マルカートで全ての音をハッキリと弾く必要があります。
次に必要なことは、それらのマルカートで演奏されるべき和音や重音のバランスになります。いくら強い音が欲しいと言っても右手の1の指に力は入ってしまっては和音のバランスが崩れます。右手1の指と左手を若干控え、右手の5の指や4の指でトップ(メロディーラインにあたる最も高い位置に書かれてある音)をきれいに出さなければなりません。例えば冒頭3つの和音は、E D A と聴かせなければなりません。この和音のバランスや、トップの扱いが、最終的にこのソナチネをよく聴かせることが出来る「伴」になります。
技術的な話になりますが、3小節目、1拍目裏拍から2拍目表拍までの8分音符2つの扱いの話になります。このパターンは曲中至る所で見ることが出来ます。最も典型なのは、20小節目2拍目裏拍より22小節目2拍目表拍までのパターンです。演奏のコツとしては、まず8分音符2つに力を入れないようにします。あたかも装飾音のような扱いにします。そして8分音符2つのすぐ後の重音に力が入るようにします。この重音を弾くときそこにアクセントが入りますのでその反動で手は上に上がるのが自然なモーションになります。ただし、今の場所は次から次へとシークエンス的にこのパターンが現れますので、手を上に上げている時間はありませんね。それでも1つの流れとしてそうお考えください。
和音の解決にも十分気を遣います。例えば、13小節目、1拍目左手のDis Fis Ais は次の拍でE G H の和音に解決されると考えますので、Dis Fis Aisは強く、E G H はアクセントを付けずに手を上にあげ、力を抜くようにします。
続いて32小節目から始まるメロディーですが、こちらもトップの音をよく出してメロディーラインをハッキリと聴かせてください。ある程度、気持ちブレスを取ったり、衰退したりというテンポの揺れは大丈夫ですが、極端にルバートなどをかけてはいけません。ほぼテンポ通りに揺らさずに進んでください。その中で音楽性を出すようにします。
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