初中級者の教材としてはもとより、コンサートや発表会のレパートリーにも活用したい作
品。上記邦題はジャン・ロワ著のミヨーの評伝の翻訳を手がけた広田正敏氏によるもので
ある。ほかに「愛する子ども」といった訳出例もみられるが、子どもの好む事物を5つ並
べた本作品には上記がふさわしいようだ。第二次大戦後、パリとカリフォルニアを一年ご
とに往復する生活を始めた円熟期の所産である。出版社 Leeds の委嘱を受け 1948年11月
30~31日にミルズにて作曲、ミヨーが家族ぐるみで交流を持った友人や子どもたちに1曲
ずつ献呈され、全体に暖かい雰囲気にあふれる。1949年7月1日にワイオミング大学ララミ
ー校にて作曲者自身により初演された。チェルニー100番後半から同30番前半までの技巧
の範囲内でよく響く効果的な書法で書かれている。各曲が長すぎず短すぎず、全体の変化
とまとまりがよいうえ、平明な中にミヨーの個性がよく出ている。
第1曲 花(Les fleurs / Flowers) 8分の6拍子、ハ長調、Animé(いきいきと)。 Nicole
Leduc への献呈。
第2曲 キャンディ(Les bonbons / Candy) 4分の4拍子、ト長調、Modéré(中庸に
)。Edmonde Wilson への献呈。
第3曲 おもちゃ(Les jouets / Toys) 8分の6拍子、ヘ長調、Vif (速く)。 Dominique
Bailey への献呈。
第4曲 お母さん(Sa mère / Mother) 4分の4拍子、イ長調、Lent (遅く)。 Niccolo
Daniele Rieti への献呈。
第5曲 生活(La vie / Life) 2分の2拍子、ニ長調、Très animé(とてもいきいきと
)。Catherine Velley への献呈。