山田 耕筰 :夜の歌 I
Yamada, Kōsaku:Ein Nachtlied I
ピティナ・ピアノステップ
23ステップ:応用7 発展1 発展2 発展3
執筆者 : ピティナ・ピアノ曲事典編集部 (215文字)
1916年の作曲者自身による初演時のプログラム・ノートには、次のように記されている。「荒れはてた広野の旅に、行き悩む若人が、泣きはれた眼をあげて、絶望の吐息を空にはいた時、ふと、大空の極みに静かに輝いて居る星を見出しました。若人は涙の中にもその星を見つめて、ただ声もなく、その萎へた腕をさしのべて、その光に浴して居ります」なおこの作品は、後に舞踊詩として、石井漠や高田せい子により上演された。(春秋社:山田耕筰作品全集第4巻参照)
解説 : 杉浦 菜々子 (283文字)
ショパンに代表される西洋のピアノ作品のスタイルを踏襲しつつ、そこに山田独自の日本的な歌心や間合いが反映されている点が興味深い作品です。繰り返し登場する冒頭のフレーズを、様々な情感を込めて即興的に味わう楽しみがあります。3小節目の山田が好んで使用した付点のリズムは、きつくなることなく、しなやかな躍動感を持って演奏されるのが良いでしょう。14小節まで書かれて未完に終わった《セレナーデ》も、ショパンに影響を受けて書き始められたもので、2022年に榎政則が補筆完成していますが、《夜の歌Ⅰ》同様、調性は変ニ長調、浮遊感のあるリズムが特徴で、類似性を感じることができます。
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