セレナーデ （1917年？）

日本近代音楽館に自筆譜Ms.428が所蔵されている。14小節まで。山田が完成させることがなかった「アンプロンプチュ」「神戸の想い出」「ソナタエクスタジエ」と並び、2022年に気鋭の作曲家榎 政則が補筆完成した。

以下、榎 政則による解説。

ショパン風の小曲に仕立てあげる予定だったと思われるこのセレナーデの断片は14小節の途中で終わっている。同じ変ニ長調・6/8拍子で書かれているショパンの子守唄は、常に同じ形の伴奏で曲の最後まで通しているが、山田のセレナーデは断片の中でも多少の変化があるため、40小節目からは転調するセクションを入れ、起伏のある構成を取った。

【楽譜情報】

山田耕筰：ピアノ曲拾遺 第三集《未完成作品の補筆完成》（ミューズ・プレス）