ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ 第14番 「月光」 第3楽章 Op.27-2
Beethoven, Ludwig van : Sonate für Klavier Nr.14 "Sonata quasi una fantasia"(Mondscheinsonate) 3.Satz Presto agitato
作品概要
解説 (1)
解説 : 丸山 瑶子
(671 文字)
更新日:2019年3月5日
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解説 : 丸山 瑶子 (671 文字)
第3楽章 Presto agitato 4/4拍子 cis-Moll
ソナタ形式。非旋律的な分散和音(Aとする)の忙しない動きと、次第に間隔を狭めるsfと和声変化によって、楽章冒頭から音楽は急速に高揚する。ドミナントの保続音の後、第11小節から移行部に入る。第21小節からAとは対照的な旋律的主題(Bとする)が属調gis-Mollで現れる。しかし副主題に期待される調の安定性は低く、すぐに低音が半音階的に下行してgis-Mollから離れていく。gis-Mollが再び明確かつ安定的になる第43小節からは、楽章冒頭以降ほぼ途切れなかった16分音符が消えて8分音符が基準のリズムになると同時に、テクスチュアもそれまでと対照的なホモフォニックな和音の連続に変わる。小結尾(第57小節~)はBに基づく。
短い展開部では、主題A、Bが提示部と同じ順番で現れたのち、第21小節の旋律から派生した動機が楽章主調のドミナントgisの保続音上で変奏され、再現部が和声的に準備される。再現部は移行部の省略により主題Bの主調再現が簡潔に準備されている。
コーダ(第159小節〜)の構成は主題A、Bが提示部と同じ順で現れる点などで展開部と対応するが、既出主題の間には前触れもなく即興的パッセージが挿入される。ここに表題の「幻想曲風」の特徴を指摘できるだろう。急速なパッセージがスピードを減じ、展開部末尾(第100〜101小節、コーダ第188〜189小節)と対応する低音の二度上行(コーダでは半音上行)でドミナントに達すると、主和音への解決とともに再び小結尾の楽想が現れる。
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