作品概要
作曲年:1892年
楽器編成:ピアノ独奏曲
ジャンル:フーガ
総演奏時間:2分50秒
著作権:パブリック・ドメイン
解説 (2)
解説 : 山本 奈央
(315 文字)
更新日:2023年7月10日
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解説 : 山本 奈央 (315 文字)
1892年に作曲された作品。フーガと題された作品はこの曲の他に1887年に作曲した《3声のフーガ》WoO 11、1888年に作曲した《4声のフーガ》WoO 12、WoO 13を残しているが、作品番号付きの作品には《フーガ》という種類は残されていない。スクリャービンは1888年にモスクワ音楽院に入学し、ピアノをワシーリー・サフォーノフに、作曲をセルゲイ・タネ―エフ、アントン・アレンスキーに師事した。1892年モスクワ音楽院を卒業し、これから作曲家・ピアニストとして華々しく羽ばたいていく時期に書かれたものである。初版は1916年に出された遺作の一つである。5声部で作られた作品は、テーマを軸に最後まで8分音符が単調に動き続ける。
演奏のヒント : 山本 奈央
(308 文字)
更新日:2023年7月10日
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演奏のヒント : 山本 奈央 (308 文字)
【演奏のヒント】
この作品はホ短調、5声のフーガで構成されており、一番下の声部からテーマが始まり、高音部にかけてテーマが模倣されます。声部ごとのテーマの動きは従来のフーガの書法(第一声部は主唱ー第二声部は答唱:属音での模倣)を用いた作品です。声部ごとに取り出して練習することはもちろん、声部を重ねたときにテーマが埋もれないように気をつけましょう。またこの作品は全体的に速すぎず、淡々と進むことで不穏で不安定なイメージを感じさせます。テーマに書かれているテヌートは少し重さをかけて軽くならないように弾き、最後のピカルディ終止へ辿り着くまで、声部ごとのテーマが途切れないようこの作品の不安定さを保ったまま向かってください。