作品概要
解説 (1)
執筆者 : 伊藤 萌子
(595 文字)
更新日:2009年6月1日
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執筆者 : 伊藤 萌子 (595 文字)
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1841年はじめ、ヴィーンの出版社メケッティの依頼により作曲された。その依頼は、楽譜集「ベートーヴェン・アルバム」への新作を提供するようにというもので、楽譜集の売り上げはボンのベートーヴェン記念像の建築資金にあてられた。メンデルスゾーンの他に、ショパン、チェルニー、リストら当時の人気作曲家たち十名が参加している。
メンデルスゾーンの場合は、ベートーヴェンへのオマージュではなく、自作の主題に基づく大規模な変奏曲を提供した。
掛留や半音階によって特徴づけられた主題とそれに続く十七の変奏とコーダから成り、調性は第十四変奏で同主長調(ニ長調)に転じる以外は、一貫してニ短調を守っている。各変奏は、主に音型の多様な変形によって個性が際立たせられている。その充実した筆致は円熟期の彼の真骨頂と言えるだろう。メンデルスゾーン自身も作品の出来に満足したことが伝えられている。
なお、メンデルスゾーンが手がけたピアノのための変奏曲は、初期の習作を除けば、本作品を含めて3曲あるが、いずれも1841年6月から8月までのわずかな期間に作曲されている(続く二曲は、《アンダンテ・アッサイ・エスプレッシーヴォ》変ホ長調 op.82及び《アンダンテ・トランクィロ》変ロ長調 op.83。彼の没後1850年に出版)。
華麗で技巧的な変奏曲が流行していたヴィルトーゾの間にあって、メンデルスゾーンの慎重さが窺えると言えよう。
執筆者:
伊藤 萌子
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