ラフマニノフ : ピアノ・ソナタ 第1番 ニ短調 Op.28
Rakhmaninov, Sergei Vasil'evich : Sonata for Piano No.1 d-moll Op.28
作品概要
作曲年:1906年
出版年:1908年
初出版社:Gutheil
楽器編成:ピアノ独奏曲
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:41分30秒
著作権:パブリック・ドメイン
解説 (1)
執筆者 : 和田 真由子
(830 文字)
更新日:2007年9月1日
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執筆者 : 和田 真由子 (830 文字)
ラフマニノフは、2曲のピアノソナタを残している。近年比較的とりあげられるようになってきている《ソナタ第2番 変ロ短調 作品36》に対して、この《ソナタ第1番 ニ短調 作品28》は演奏される機会が非常に少ない。演奏には約40分もの時間を要する。その複雑さと長大さゆえに全体像がつかみにくいこと、また技巧的に難易度が高いことなどが、この曲が敬遠されがちな理由としてあげられるだろう。しかしながら、名ピアニストによってそれらが達成されたとき、そこに立ち現れるのは、壮大で輝かしい傑作である。1906~07年にかけて作曲され、初演は1908年、友人のコンスタンティン・イグムノフによってモスクワで行われた。
この作品は、ゲーテの戯曲《ファウスト》に念頭において作曲されており《ファウスト・ソナタ》とも呼ばれる。もともとは、1~3楽章が、順に「ファウスト」「グレートヒェン」「メフィストフェレス」と題されておりそれぞれの楽章に、同一の主題が循環して現れる。それぞれのタイトルは出版の際に外されている。
第1楽章:アレグロ・モデラート。短いが印象的な序奏にはじまる。メノモッソの短い第一主題に続き、アレグロで16分音符が激しく上下したのち、もとのテンポへ。主題は徐々に発展し、豊かな響きを増していく。第2主題は、変ロ長調オクターブのユニゾンでたっぷりと奏される。
第2楽章:レント。三連音符の波のような動きの合間をぬって旋律がゆったりとうたわれていく。中間部では徐々に激しさを増し、クライマックスへむかう。カデンツァののち、再び冒頭の雰囲気をとりもどす。コーダでは、トリルが装飾的にとりいれられ、美しい音響効果をあげている。
第3楽章:アレグロ・モルト。力強く厚みをもった音で印象的なはじまりをみせる。非常に複雑で、演奏にも高度なテクニックを要求する。さまざまな主題が登場し、大胆な力強さ、神秘的な雰囲気、リズムの面白み、また旋律の叙情性など、多様な側面をもった魅力的な曲である。
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