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アルカン, シャルル=ヴァランタン :音楽院演奏会の想い出:独奏ピアノのためのスコア(第2集)

Alkan, Charles-Valentin:Souvenirs des concerts du Conservatoire. Partitions pour piano seul (2e série)

作品概要

楽曲ID:6072
出版年:1861年 
初出版社:S.Richault
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:トランスクリプション
著作権:パブリック・ドメイン

解説 (3)

総説 : 上田 泰史  (1351文字)

更新日:2014年5月27日
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1847年にアルカンが出版した6曲からなる編曲集《音楽院演奏会の想い出 第1集》の続編。「パリ音楽院演奏会」とは、パリ音楽院演奏協会(1828年創設の管弦楽団員、歌手の集団)が音楽院ホールで開いていた定期演奏会のことである。

第1集を出版した当時、アルカンはピアノと作曲を師事したパリ音楽院ピアノ科教授P.-J.-G. ヅィメルマン(1785~1853)門下生の中でも卓越した演奏技量を誇り、独創的な音楽家としても高い名声を得ていた。ヅィメルマンが引退を公式に表明するのは翌48年のことである。アルカンがその前年に音楽院ホールで行われていた定期演奏会のレパートリーをテーマにした編曲集を出すということには、彼のキャリアにとって大きな意味があった。すなわち、自らと音楽院の結びつきを広く社会に知らしめ、編曲に関する自身の美学と高度な手腕を示すことで、自らが当然、師の後継者にふさわしい人材であることをアピールしようとしたのだと考えられる。

アルカンの編曲に関する美学は、47年の第1集の序文に示されていた(第1集の解説参照)。すなわち、編曲は「意図と解釈の統一」のために、2手用であるべきだという美学的前提(当時はオーケストラの効果を得やすく、またサロンに適した社交的形態の4手の編曲が非常に多く書かれた)、原曲についての深い知識とピアノ独自の表現手法を同時に実現するという、ヴィルトゥオーゾ的かつ学究的な姿勢がこの曲集でも貫かれている。

1866年に出版された第2集に含まれる作曲家は、第1集と同じく生年順に配列されている。但し、扱う時代は拡大され、ヘンデルからベートーヴェンウェーバーに至る作品を含んでいる(第1集の作曲家の中で、世代的に最も新しい作曲家はモーツァルトだった)。

第1番「ヘンデルのオラトリオ『サムソン』より、ダゴンの司祭の合唱」 アレグロ ニ長調

サムソンは旧約聖書の「士師記」に登場する人物。イスラエルの民をペリシテ人の支配から開放するために怪力を授かって誕生するも、陰謀により怪力の秘密が漏れ囚われの身となる。アルカンが抜粋したのはペリシテ人が自らの奉ずる神ダゴンの祭日を祝い讃える冒頭の合唱。ヘンデルのオラトリオからの抜粋は1840 年以降、好んでパリ音楽院の定期演奏会で取り上げられている。『ユダス・マカベウス』、『メサイア』と並び、『サムソン』も主要なレパートリーだった。

原曲の編成は混声合唱と弦楽器、トランペット、ティンパニ、通奏低音。アルカンの楽譜では合唱パートにアクセント記号が付いている。とはいえ、ピアノ上では音色が似通ってしまいがちな上に全体を通してフォルテで書かれているので、各楽器やフレーズに応じたニュアンスやアーティキュレーションへの意識が大切である。そのために、原曲の録音やスコアに触れておくことが不可欠である。

第6番「人魚の歌」 『オベロン』の第2幕フィナーレ 第15番

『オベロン』はC. M. v. ウェーバー(1786~1826)が死を目前に完成させたドイツ・ロマン主義オペラ。この曲は海の精が試練に耐え忍ぶ主人公を慰めながらユニゾンで歌う舟歌。拍頭のアルペッジョにかかわらず、旋律と伴奏の規則正しいリズムが崩れないように聴かせる巧妙なルバートが演奏の鍵。

執筆者: 上田 泰史 

楽曲分析 : 上田 泰史  (434文字)

更新日:2014年5月27日
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総説 : 上田 泰史  (971文字)

更新日:2014年11月18日
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楽章等 (6)

ヘンデル:《サムソンとダゴン》より、合唱

調:ニ長調  総演奏時間:2分20秒 

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