作品概要
作曲年:1828年
出版年:1868年
初出版社:Rieter-Biedermann
楽器編成:ピアノ独奏曲
ジャンル:即興曲
総演奏時間:27分00秒
著作権:パブリック・ドメイン
解説 (1)
執筆者 : 稲田 小絵子
(795 文字)
更新日:2008年5月1日
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執筆者 : 稲田 小絵子 (795 文字)
1828年5月、つまり死の半年前の作品。最期の年のシューベルトの創作意欲はむしろ高まっており、新しい交響曲の作曲をはじめ(未完)、ミサ曲、弦楽五重奏曲、《白鳥の歌》として出版された《レルシュタープ歌曲集》や《ハイネ歌曲集》などが手掛けられた。ピアノ作品では4手ピアノ曲や、最後の3つのピアノ・ソナタD958-960といった傑作が生み出されている。
この3つのピアノ曲は、三部形式(ダ・カーポ形式)あるいはロンド形式をとり、どれも雰囲気や、テンポ、拍子の変化によってコントラストを形成している。だがそれらの接続部は巧妙な和声進行によって、なめらかに仕上げられている。
出版はブラームスの編集(匿名)によって、作曲家の死後40年経った1868年に行われた。
第1番:変ホ長調/短調、アレグロ・アッサイ、2/4拍子。三部形式。両端部分は左手の3連符が嵐のような激しさをみせ、変ホ長調と変ホ短調が入れ替わり現れることによって、不安定感を煽る。それに対する中間部はアンダンテ、ロ長調、2/2拍子に変化し、打って変わった穏やかな音楽となる。なお、この曲は、本来はABACAのロンド形式で書かれたが、後にシューベルト自身によって最後のCA部分が削除された。
第2番:アレグレット、変ホ長調、6/8拍子。ABACAのロンド形式。シューベルト自身のオペラ《フィエラブラス》(1823年)の合唱より引用された晴れやかなロンド主題と、2つのエピソードがコントラストを成す。エピソードは、十六分音符のトレモロを背景とする暗く激しいハ短調(ハ長調)部分と、変イ短調、2/2拍子の、切々と訴えるような旋律をもつ部分である。
第3番:アレグロ、ハ長調、2/4拍子。三部形式。シンコペーションを特徴とする活発な主題に対し、中間部は変ニ長調、3/2拍子に変わり、同じリズムパターンを繰り返すが、最後は再び冒頭主題で爽快に全体を閉じる。
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