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山田 耕筰 :源氏楽帖

Yamada, Kōsaku:GENJI GAKUCHOU

作品概要

作曲年:1917年 
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:★ 種々の作品 ★

解説 (1)

総説 : 仲辻 真帆 (924文字)

更新日:2018年3月12日
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いつとは知らず、作曲者の心に流れ入った『源氏物語』が、またいつともなく、彼の胸から溢れ出でた。その作品こそ、山田耕筰の《源氏楽帖》である。  《源氏楽帖》は1917年、オーケストラのための組曲として作られた。ただし、オーケストラの作品としては〈『花散里』巻より〉〈『須磨』巻より〉の2曲のみしか完成していない。1917年6月9日、本野一郎外務大臣官邸の音楽夜会で作曲者の指揮のもと初演された。  ピアノ曲《源氏楽帖》は、もともとオーケストラ版のピアノ・スケッチである。作曲には日本古典文学に造詣の深かった寺崎悦子が関与しており、本作品は彼女に献呈されている。ピアノ版の《源氏楽帖》は1917年7月10日の「山田耕作氏第二回作品発表音楽会」で初演された。当日のプログラム・ノートには、本作品が管弦楽曲であってピアノで演奏することは難しいが、油絵を写真で見る程度には理解できるであろうという旨が記載されている。  ピアノ曲《源氏楽帖》は全7曲から成る。E durの調性が明確に打ち出される〈『桐壷』巻より〉、長2度の響きが印象的な〈『若紫』巻より〉、出だしがゆったりとした〈『末摘花』巻より〉、連続する3連符から一気に最高潮を迎える〈『紅葉賀』巻より〉、旋律が上行・下行を繰り返す〈『花宴』巻より〉、オクターヴのユニゾンからはじまる〈『花散里』巻より〉、pppからff, sfまで強弱に幅があり音色は管絃楽を思わせる〈『須磨』巻より〉。  楽譜は自筆譜の誤植を訂正した校訂版が『山田耕筰作品全集』第4巻(春秋社、1991年)に収録されている。  ちなみに、《源氏楽帖》が1917年に初演された際、雑誌や新聞紙上には批判が寄せられた。山田はこれらの批評に対し筆をとり、雑誌『邦楽』誌上で《源氏楽帖》について説明している。作曲者の記述によると、本作品は『源氏物語』を音に翻訳したものでなく、物語を通して山田が聞き得た「ある声」を表したものである。つまり、本作品は『源氏物語』の一種の「パラフレーズ」と言っても良いだろう。そして《源氏楽帖》は、「作るのではない。生むのである。」という山田の創作上の信条のもとで作りあげられた楽曲であることも忘れてはならない。

執筆者: 仲辻 真帆

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