バッハ :トッカータ BWV 914 ホ短調
Bach, Johann Sebastian:Toccata e-moll BWV 914
執筆者 : 朝山 奈津子 (286文字)
導入、アレグロ、クロマティックな走句を披露するアダージョの3セクションによる前半楽章と、長大な主題を持つフーガ楽章から成る。
前半は、トッカータに典型的な走句をもたず、比較的ゆるく控えめな始まり方をする。アレグロでは、冒頭で二つの主題が同時に提示され、明澄なテクスチュアながら二重フーガを展開する。これに半音階的な装飾をもつ華やかなアダージョが続く。
フーガは、真作であるには違いないが、ナポリ音楽院に伝わる古い手稿資料にそっくりの主題を持つフーガがあり、バッハはこれを借用したと見られている。跳躍を繰り返す音型は、複数の弦をまたいで演奏するヴァイオリンの典型的な語法である。
トッカータ ホ短調 BWV914-第9回福田靖子賞選考会 第2位
トッカータ ホ短調 BWV914
Toccata BWV914 (Graduation Concert 2021)
伊藤慧