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リャードフ :舟歌 嬰ヘ長調 Op.44

Lyadov, Anatoly Konstantinovich:Barcarole Fis-Dur Op.44

作品概要

楽曲ID:351
作曲年:1898年 
出版年:1898年 
初出版社:Belaïev
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:舟歌
総演奏時間:4分30秒
著作権:パブリック・ドメイン

解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (778文字)

更新日:2023年10月30日
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この曲を演奏するにあたり、主な注意点を述べます。

1 最も出すべき声部を把握すること

声部は大変複雑に入り組んでいて、主旋律、内声、装飾的声部、等があるのですが、声部を目で追っていけば必ずしも良いわけでもありません。例えば、6小節目、メロディーラインはGis H Ais Gis Ais Fis Cis と書いてありますが、人の耳には、Gis H Ais Gis Ais Fis Cis H Ais と、最後の16分音符2つがメロディーとして聴き取れます。

2 音符が装飾的役割か、旋律的役割かの判断をすること

例えば10小節目、2拍目の右手3連符は主旋律である、Fis と Gisを除けば、Dis と Cisのみの音符となり、これは装飾的な音符と判断し、ppで演奏します。しかし13小節目1拍目の右手の3連符、Fis Eis Fisは、5小節目1拍目の裏拍の変奏と考えますので、こちらはしっかり出すようにします。

このように、最終的には奏者に委ねられる部分もあるのですが、奏者はどの声部をどのように聴かせたいか、把握し、それらの音符をはっきりと出すようにします。声部は2重唱のように、どちらの声部も重要である場合もあれば、2つ以上の声部の優先順位を決めなければならない場合もあります。

また、53小節目、右手の32分音符は、1つの声部として書かれていますが、4つの32分音符x6 と考え、4つの32分音符の中で、最初の音が最も重要であったりする場合もあります。この小節の場合だと、Dis Cis Dis Cis Cis H の音を出すようにします。

その他、この曲は曲中にカラーが変わる部分があり、16小節目のように、突然D-durのドミナントに転調したり、瞬間にカラーが変わりますので、その場合の和音は特別に扱うようにします(例えば一瞬間を置いてから弾き始める等)。

執筆者: 大井 和郎

楽譜

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