ラヴェルが音楽雑誌主催の作曲コンクールのために書いた曲で、小節数の規定のため小規模な作品となっている。しかしどれもが魅力的な旋律で繊細な響きをふんだんに用いながらも、古典的形式に則っていて簡潔にまとめられ、実に見事な完成度を誇るソナチネと言えよう。曲は3楽章構成だが、第1楽章第1主題が第2、3楽章にも和声やリズムを変形しながら登場し、循環主題風に扱われている。作曲当時から大好評を博し、ラヴェルの名前を広めた1曲でもある。
第1楽章 中庸の速さで
繊細な輝きを持つメロディーが叙情的に歌われながら、簡潔なソナタ形式に見事にまとめられている。
第2楽章 メヌエット
トリオのないメヌエット。優美で可憐な旋律が、無駄のない和声上を流れていく。結びには、ラヴェル自身が「踊りのあとのお辞儀」と言った部分が現われる。
第3楽章 生き生きと
自由なロンド形式で書かれ、快活なパッセージが活躍する。