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モーツァルト : ロンド イ短調 K.511

Mozart, Wolfgang Amadeus : Rondo a-moll K.511

作品概要

楽曲ID: 305
作曲年:1787年 
出版年:1789年
初出版社:Hoffmeister
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ロンド
総演奏時間:10分00秒
著作権:パブリック・ドメイン

解説 (2)

執筆者 : ピティナ・ピアノ曲事典編集部 (205 文字)

更新日:2010年1月1日
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1787年、31歳の時の作品。前年にはオペラ「フィガロの結婚」、同じ年には「ドン・ジョヴァンニ」という大作を生み出したモーツァルトの、この年数少ないピアノ曲の一つ。6/8のシンプルな伴奏に乗せて哀愁を感じさせる美しいメロディーが奏でられる。8小節の主題にはさまれて様々な調で自由な曲想が展開される。特にたくさんの半音階的パッセージを含む流れるようなへ長調部分からは、モーツァルトの尋常でない才能がうかがわれる。

演奏のヒント : 大井 和郎 (769 文字)

更新日:2025年10月9日
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モーツアルトはソナタの中で2曲、短調を使っており、それが、a-mollc-mollですので、モーツアルトにとってa-mollという調は特別な調なのかもしれません。このロンドは悲しみの表現も含まれているものの、幻想的な一面もあります。このロンドのメロディーラインは歌の部分であると考えて間違いありません。

冒頭、1小節目のフレーズは2拍目のAで一区切りと考えます。故に、2拍目のAにはアクセントをつけず、ここで一区切りを付けます。そしてそこから2小節目にかけ、半音で上行していきます。これは気持ちが高ぶっていく様子を描写しています。Aから始まり、半音階で上行していき、3小節目でEまで達します。ここで一区切りをつけます。そして4小節目、順次進行で下行していき、Gisまで下がりますので、ここはテンションを徐々に緩めていきます。これまで、3つの区切りを付けましたが、基本的に、1〜4小節間を一つのフレーズと考え、2つめは、5小節目から始まり、8小節目で終わります。5〜8小節間も1〜4小節間と同じテンションの高まりと静まりで演奏します(注意するのは、テンションが高まると言っても、派手なクレッシェンドをかけるのではなく、内面的に少しだけ気持ちを高め、前へ進め、そして、元に戻る感じです。あくまでもpの範囲内でコントロールをします)。

9小節目からは同じリズムですが、調が完全に変わりますね。ここはできることであれば1〜8小節間とは異なった音質で弾くことが望ましいです。

この平行調であるC-durの部分こそが、幻想の部分であり、原調のa-mollの部分が現実と考えます。

執筆者: 大井 和郎

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