1905年に作曲され、その翌年に出版された。
第1曲目 嬰へ長調 4分の3拍子 インペトゥオーソ、フィエーロ(激烈に、傍若無人に)
属7の和音と属9の和音の変化形が多用され、文字通り激烈な響きを生み出している。特に、左手はオクターヴの跳躍が多いために高い演奏技術を要し、曲想の激しさを増幅させている。終結部においては休符が効果的に用いられている。
第2曲目 ハ長調 2分の4拍子 ポエーティコ・コン・デリツィーオ(詩的に、無常の快楽と共に)
幅広い音域を覆う右手の和音は、その上声が音価の長いのびやかなメロディーとなっており、アルペジオの奏法の美しさを際立たせる。さざ波のようにうごめく左手に、このメロディーがかき消されないよう、息の長い旋律線を聞き続けることが求められる。
第3曲目 変ニ長調 4分の3拍子 カプリチオサメンテ、アッファンナート(気まぐれに、あえぎながら)
2対3のポリ・リズムで分散和音を弾く曲。アッファンナートは、これ以後スクリャービンがしばしば用いた表記である。弧を描くような右手に、幅広い音域を下降する左手が添えられている。
第4曲目 ハ長調 4分の3拍子 フェスティヴァメンテ(祭りのように)
この曲では、低音の前打音、オクターヴに重ねられたテクスチュアが、一度に幅広い音域を鳴らす厚みのある響きを生み出している。付点を織り混ぜたリズムも効果的で、文字通り、祝祭的な曲となっている。