《4つの前奏曲 作品31》と同じく、1903年にモスクワで作曲され、翌年に出版された。この時期のスクリャービンについては、作品31の項を参照されたい。
第1曲目 ホ長調 4分の3拍子
多声的な書法で書かれている。上声も低声も、7度の跳躍を織り混ぜたラインが特徴的である。
第2曲目 嬰へ長調 8分の6拍子 ヴァガメンテ(夢のように)
この曲のメロディーは、様々な音程の音が組み合わされている。隣り合った音の関係を考慮すると、冒頭に表記されたルバートが自然に生み出されるだろう。
第3曲目 ハ長調 2分の2拍子
打楽器的なタッチを基調としているが、途中で3回ほど、しなやかな曲線を描く下降音型が挿入される。リズムのおもしろさを味わえる曲である。
第4曲目 変イ長調 4分の5拍子 アルディート、ベッリコーソ(大胆に、勇ましく)
この曲の主旋律は8文音符を主体としているが、時折みられる16分休符を挟んだ3連音符が宙に浮く音の響きの味わいを生み出している。右手は、この主旋律の支える和音も同時に弾く。また、左手は、跳躍の多いオクターヴとなっており、高い演奏技術を要する。