スクリャービン(スクリアビン) :ピアノ・ソナタ 第5番 Op.53

Scriabin, Alexander:Sonata for Piano No.5 Op.53

作品概要

作曲年:1907年 
出版年:1908年 
初出版社:Paris, à compte d'auteur
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:11分30秒

解説 (1)

執筆者 : 野原 泰子 (646文字)

更新日:2008年1月1日
[開く]

1906年のアメリカでの演奏旅行中に着想され、管弦楽曲《法悦の詩》の完成からほどなく、翌年12月、スイスのローザンヌで一気に書き上げられた。

このソナタの一楽章制は、以後の全てのソナタや管弦楽曲で引き継がれる。スクリャービンの好んだFis durで始まるが、伝統的なソナタ形式とは違って自由に転調してゆき、終結部はEs durで書かれている。

導入部では、冒頭の飛翔のパッセージの後、機能和声の弱体化した浮遊するような和声で、「倦怠」の楽想が支配する。提示部(47小節目から)は、軽快で躍動感に満ちた第一主題で始まる。96小節目で登場する「尊大なimperioso」第二主題は、特徴的な下行の跳躍をもつが、間もなく(114小節目で)堂々たる上行の音形に変わる。推移部の甘美な主題(第三主題、120~127小節目)や、唐突に現れる動機(140~141小節目)は、後にクライマックスを築くうえで、重要な役割を果たすことになる。

展開部(157~328小節目)では、導入部と第一主題、第二主題の諸動機が組み合わされながら、やがて飛翔の性格を帯びてゆく。メノ・ヴィーヴォでの、第三主題を軸とする甘美な楽想を経て、第二主題や第三主題が高々と歌われる、熱情的な陶酔境にいたる。

再現部に続くコーダ(401小節目から)では、目まぐるしく熱狂的な楽想が生みだされる。第二主題(上行の音形)、そして導入部の主題が熱烈に奏でられ、燦然たるクライマックスが築かれた後、プレスティッシモの飛翔のパッセージで楽曲が閉じられる。

執筆者: 野原 泰子

ピティナのYoutubeチャンネル (5)

その他の音源・動画 (0)

現在視聴できる動画はありません。