ハイドン : ソナタ 第53番 ホ短調 Hob.XVI:34 op.42
Haydn, Franz Joseph : Sonate für Klavier Nr.53 e-moll Hob.XVI:34 op.42
作品概要
作曲年:1784年
出版年:1783年
初出版社:Beardmore&Birchall
楽器編成:ピアノ独奏曲
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:12分30秒
著作権:パブリック・ドメイン
※特記事項:第53番は「ウィーン原典版」の番号
解説 (1)
執筆者 : 齊藤 紀子
(916 文字)
更新日:2007年8月1日
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執筆者 : 齊藤 紀子 (916 文字)
1784年までには作曲されたと考えられている。全3楽章から成る。
第1楽章のホ短調はプレストの8分の6拍子。冒頭の主題は左右の手による会話を思わせるもので、pによる上行形の分散和音の左手で開始する。そして、それに対する右手の合いの手は、登場する度に音域が上がっていく。この主題は8小節の後、フェルマータが付され、これを展開させたものを奏する。第2主題(第30小節~)は、右手の3度ないしは6度の重音が特徴的で、ここでも上昇が際立っている。また、6小節の後、フェルマータが付され、これを展開させたものを奏するところは、第1主題の手法と同じである。展開部(第46小節~)では、第1主題を中心としており、第2主題の要素は見られない。この展開部の終わりの部分では、第1主題の左右の手の役割が入れ替えられ、左手は主調の属和音へ向かって1オクターヴ以上の音域を、3度で下降する。そして、その属和音にフェルマータが付され、再現部(第79小節~)へと続く。この再現部は、提示部を圧縮して再現している。
第2楽章のアダージョは4分の3拍子で、第1楽章の平行調にあたるト長調による。3部形式で書かれているが、調の構想はソナタ形式に即している。主として、右手の装飾的な音に富んだ細かい音価によるメロディー・ラインに左手のゆったりとした音価が伴われる。中間部(第21小節~)はこの楽章の平行調にあたるホ短調で開始し、イ短調も響く。第1部を回帰する際(第32小節~の第3部)には、その前に(ピウ・)アダージョによる約1小節のパッセージを経る。この楽章の終結部分では、中間部を開始したホ短調の属和音が響き、アッタッカで次の楽章へと続けられる。
第3楽章のヴィヴァーチェ・モルトは4分の2拍子で、ホ短調で書かれている。従って、前の楽章の終結部分とこの楽章の冒頭は、この楽章の主調から見ると、ドミナント→トニックの関係にある。冒頭には「インノチェンテメンテ 天真爛漫に」という指示がある。ロンド形式で書かれているが、そのロンド主題が同主長調にあたるホ長調で展開されたものも奏されることが特徴的である。楽章全体を通して上行音形が特徴的で、溌剌とした雰囲気が行き渡っている。
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