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ハイドン : ソナタ 第53番 第1楽章 Hob.XVI:34 op.42

Haydn, Franz Joseph : Sonate für Klavier Nr.53 Mov.1 Presto

作品概要

楽曲ID:32235
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:4分30秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:発展1 発展2 発展3 発展4 発展5

楽譜情報:9件
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解説 (2)

解説 : 大井 和郎 (382 文字)

更新日:2025年4月3日
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ハイドンが、この第1楽章を書いたとき、どのような心理的描写を求めたの

かはわかりませんが、ミステリアスな一面、ドラマティックな一面、美しい

一面が全て含まれているユニークな第1楽章であることには間違いありませ

ん。この頃の作品は、ピアノフォルテを意識して(ハープシコードのみなら

ず)書かれました。従って、ハイドン自身は、ピアノフォルテならではの音

質の変化や、強弱の変化を狙った作品と言えます。

この第1楽章は、決して深刻とは感じられず、ある種のユーモラスな部分も感

じ取れます。構成は、弦楽4重奏をイメージしても良いと思います。例えば

3035小節間はまさにその部分であり、4声体(3声体)を意識し、声部

を独立させてください。

また、16~18小節間は美しい一面を見せますが、稽留音等の非和声音を

認識し、次の解決音に行くとき、解決音にアクセントを付けないように注意

して下さい。

執筆者: 大井 和郎

解説 : 齊藤 紀子 (409 文字)

更新日:2020年2月9日
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第1楽章のホ短調はプレストの8分の6拍子。冒頭の主題は左右の手による会話を思わせるもので、pによる上行形の分散和音の左手で開始する。そして、それに対する右手の合いの手は、登場する度に音域が上がっていく。この主題は8小節の後、フェルマータが付され、これを展開させたものを奏する。第2主題(第30小節~)は、右手の3度ないしは6度の重音が特徴的で、ここでも上昇が際立っている。また、6小節の後、フェルマータが付され、これを展開させたものを奏するところは、第1主題の手法と同じである。展開部(第46小節~)では、第1主題を中心としており、第2主題の要素は見られない。この展開部の終わりの部分では、第1主題の左右の手の役割が入れ替えられ、左手は主調の属和音へ向かって1オクターヴ以上の音域を、3度で下降する。そして、その属和音にフェルマータが付され、再現部(第79小節~)へと続く。この再現部は、提示部を圧縮して再現している。

執筆者: 齊藤 紀子